金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月12日

血友病患者における高血圧症の有病率と危険因子

論文紹介です。

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「血友病患者における高血圧症の有病率と危険因子

著者名:von Drygalski A, et al.
雑誌名:Hypertension 62: 209-215, 2013.


<論文の要旨>

高血圧症(HT)は頭蓋内出血の重要な危険因子です。

著者らは大人血友病(patients with hemophilia:PWH)におけるHTの有病率、治療、コントロール具合について検討しました(PWH:18歳以上、n=458)。

検討内容は、国民健康栄養調査(NHANES)から提供されている情報と比較しました。


その結果、PWHは、NHANESと比較して有意にHTの有病率が高かったです(PWH49.1%、NHANES31.7%)。

HTの有病率を18〜44、45〜64、65〜74、75歳以上の年齢層別に評価しますと、PWHでは、31.8、72.6、89.7、100.0%でしたが、NHANESでは、12.5、41.2、64.1、71.1%でした。

HTの治療をうけている者でコントロール状態にあったのは、PWHでは27.1%のみであったのに対し、NHANESでは47.7%でした。

年齢+BMI、糖尿病、腎機能は、独立してHTと関連していました。

血友病のなかでもHTを有している可能性は、血友病中等症〜重症では、軽症と比較して1.5倍のオッズ比でした。


以上、大人PWHに対して新たな認識が必要であり、HTの原因についての更なる検討が必要と考えられました。



<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 出血性疾患