金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月13日

血友病における心血管疾患の治療

論文紹介です。

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「血友病における心血管疾患の治療

著者名:Cayla G, et al.
雑誌名:Thromb Res 132: 8-14, 2013.


<論文の要旨>

血友病患者の治療法が向上したことによって、血友病患者の平均寿命は有意に延長し、一般人男性に近付いてきました。


それに伴い、高齢化に起因する疾患とくに心血管疾患(CVD)が増加しています。

CVDの治療とくに冠動脈疾患(CAD)、急性冠症候群(ACS)、心房細動(AF)の治療が重要性を増しており、出血と血栓症のバランスを意識した注意深い管理が必要です。

しかし、専門的な推奨治療法や文献、データはほとんどありません。

このような背景の下、著者らは、入手可能な文献および著者らの経験に基づいてACS、安定狭心症、AFに対する治療法の提言を行っています。


全体的には、血友病患者のCVD治療は標準的ガイドラインに従って一般男性と同様に行えば良いですが、出血の副作用の少ない治療法があればそれを選択します。

血友病患者に推められる治療としては、抗血小板療法、ヘパリンやビバリルジンなどの抗トロンビン療法、GPIIb/IIIaインヒビター、心カテーテル治療、冠動脈ステントも含まれます。

抗血栓薬は、半減期が短く可逆性のあるものや中和薬のあるものが望ましいです。

特にACSの急性期においては、観血的処置や抗血栓療法で上昇する出血リスクに対して、適切な凝固因子補充療法を行うべきです。



<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 出血性疾患