金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年12月25日

後天性血友病と少量プロトロンビン複合体製剤(PCC)治療

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「後天性血友病49症例の後方視的解析(中国単施設での検討)」

著者名:Yang Y, et al.
雑誌名:Clin Appl Thromb Hemost 21: 35-40, 2015.

<論文の要旨>

後天性血友病(AHA)は、従来出血性素因のなかった者が第VIII因子に対する自己抗体が出現することで出血症状をきたすまれな疾患です。

著者らは、自施設の1994年2月〜2012年10月の間にAHAと診断された49症例について、特徴と転帰を解析しました。

急性の出血ピソードをきたした24例においては、プロトロンビン複合体製剤(PCC)が30〜50U/kg/日と比較的少量で治療されましたが、副作用もなく良好な治療効果がえられました。

インヒビター除去のための第1選択薬としては副腎皮質ステロイドが単独あるいはサイクロフォスファマイドとの併用で用いられました。

検討可能であった39症例のうち35症例(89.7%)で完全寛解(CR)が達成されました。


以上、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)や活性型PCC製剤(APCC)が使用できない環境にあっては、少量PCCはAHA患者の出血をコントロールするのに有効と考えられました。

また、第1選択の治療でCR89.7%と良好な転帰がえられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 出血性疾患