金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年01月30日

心房細動における血中可溶性フィブリン(SF)の変動

スライド20

 

この論文では、心房細動に対してワルファリンによる抗凝固療法を行う前後において、血中可溶性フィブリン(Soluble fibrin: SF)の変動をみています。

抗凝固療法開始前には、SFが高値の症例がみられています。

ただし、心房細動の全ての症例ではなく、一部の症例でのみ高値であった点も注目されます。


抗凝固療法を行いますと、SFが高値であった症例も低下することが確認されています。大変に興味深い結果です。

SFはすぐれたマーカーのように思われますが、ワルファリン治療中の血中SFは血栓塞栓症は予知できなかったようです。

症例数の問題や、あるいは繰り返し採血する検討ではなかった点の限界ではないかと論じられていました。

D-ダイマーも優れたマーカーですが、心房細動で評価するにはやや鈍感な印象があります。

一方で、SFはダイナミックに変動する特徴がありますので、今後の展開を期待したいところです。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 血栓性疾患