金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年05月01日

金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(4)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会原稿(平成26年度)からです。

金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)


「呼吸器グループ研究室紹介」(4)
 

気道疾患グループ

慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。

特に、これまで藤村先生が取り組んでこられた「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」について、さらにそれらを進化させていく責務を感じています。

咳嗽は、最も多い症状の一つであるにもかかわらず、その発生機序については未解明な所が多く課題の多い分野です。

アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、岡崎先生が「好酸球性気道炎症に伴う咳感受性亢進に対するピルフェニドンの影響」について行い、鎮咳効果としてのピルフェニドンの新作用を発見しました(論文投稿中)。

また咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究では、気管支平滑筋収縮に対する咳嗽過敏反応が咳喘息の基本病態の一つであること示しました(Respirology 2012)。

さらに気管支平滑筋収縮をトリガーとする咳嗽は、気管支平滑筋収縮の程度ではなく、平滑筋収縮からの回復の程度と関連するという面白いデータも出ています。

咳喘息から典型喘息に移行する機序解明のヒントになるかもしれません。

メサコリン誘発咳嗽測定が咳喘息診断に有用であることが明らかとなり、検査としての確立を目指しています。

また基礎的研究でも咳喘息の病態解明に取り組んでいるところです。

臨床研究では、多くの先生方にご協力いただいた多施設共同研究「咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬と吸入ステロイド薬の比較試験」が終了し、咳喘息維持治療におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の有用性が示されました。

なお他大学との共同研究も順調に進んでいます。

今後の課題は、気管支喘息・COPDについて新たな基礎的・臨床研究を行っていくことです。

金沢大学呼吸器グループ研究室紹介(インデックス)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:29| 呼吸器内科