金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年08月27日

ITP:ロミプロスチムからエルトロンボパグへの変更

論文紹介です。

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「ITP患者におけるロミプロスチムからエルトロンボパグへの変更

著者名: González-Porras JR, et al.
雑誌名:Br J Haematol 169: 111-116, 2015.


<論文の要旨>

トロンボポエチン受容体作動薬(THPO-RAs)であるロミプロスチムとエルトロンボパグは、免疫性血小板減少症(ITP)に対して有効かつ安全な治療薬です。

しかし、治療反応が得られなかった場合や有害事象が出現した場合に、一方のTHPO-RAsから他方のTHPO-RAsに変更して引き続き加療を行うことの意義については明らかになっていません。


著者らは、ロミプロスチムで治療された後にエルトロンボパグでの治療に変更されたITP成人患者51名について、後方視的に検討を行いました。

年齢の中央値は、49歳(18〜83歳)、性別は女性32名と男性19名でした。


エルトロンボパグに切り替える前に、ロミプロスチム使用期間の中央値は12ヶ月でした(四分位範囲:5〜21ヶ月)。

切り替えの理由は、無効(n = 25)、患者の希望(n = 16)、血小板数の変動(n = 6)、副作用(n = 4)でした。


その結果、エルトロンボパグに反応した症例は80%(41/51)であり、そのうち完全寛解が67%(n = 35)含まれていました。

中央値14ヶ月の経過観察において、31人の患者では、治療効果が継続していました。

患者の希望、血小板数の変動、副作用が理由で変更した患者においても有効性は維持されていました。

患者のうち33%では、エルトロンボパグ治療中に1つ以上の有害事象がみられました。


以上、ITP患者においてロミプロスチムからエルトロンボパグへの変更は有効かつ安全であると考えられました。

エルトロンボパグへの反応性は、ロミプロスチム中止の原因に関連していました。



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:05| 出血性疾患