金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年09月09日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(7)産科・小児科・肝不全

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(7)産科・小児科・肝不全

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)


詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


産科では、現在産科DICスコアが使用されています。

産科DICは極めて急激な経過をとるため、基礎疾患と臨床症状で速やかに診断して治療する必要があります。

早期に治療開始を可能にするこの産科DICスコアは極めて有用で、わが国では広く使用されています(日本産婦人科・新生児血液学会 http://www.jsognh.jp/dic/)。

また、正常妊娠であっても、FDP、D-ダイマー、TAT、SF、F1+2などのDIC関連マーカーは上昇するために、これらのマーカーが高値であったとしてもDICとは言えません。


新生児の凝固・線溶活性は成人と大きく異なります。

また、凝固活性化関連マーカーは、採血が困難な症例(小児など)では試験管内凝固により偽高値になりやすいです(誤診につながります)。


旧基準では、肝不全によりPT延長、フィブリノゲン低下、血小板数低下、肝不全にさらに大量腹水を有するとFDPやD-ダイマーも上昇するような症例が誤診されやすかったと考えられます。

肝不全症例が誤診されない工夫が必要性です。

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)



<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| DIC