金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2016年07月13日

播種性血管内凝固症候群(DIC)の血液凝固検査

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問25.    播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。


a.    敗血症に合併したDICでは、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)活性が著減する。
b.    前立腺癌に合併したDICでは、血中FDPが著増する。
c.    急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、血中プロテインCが著増する。
d.    大動脈瘤に合併したDICでは、血中プラスミノゲン活性が著増する。
e.    急性腎盂腎炎に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。


(解説)

a. 敗血症(線溶抑制型DIC)に合併した播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)活性は、炎症のため正常〜むしろ上昇することもある。線溶亢進型DICでは、α2PIは著減する(過剰なプラスミン形成に伴う消費)。

b. 前立腺癌に合併したDICでは、線溶亢進型DICとなるため、血中FDPが著増する。

c. 急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、肝不全やビタミンK欠乏症がなければ、血中プロテインCはほぼ正常である。アンチトロンビンも同様である。

d. 大動脈瘤に合併したDICでは、線溶亢進型DICとなるため、血中プラスミノゲン活性は低下する。

e. 急性腎盂腎炎(重症感染症)に合併したDICでは、線溶抑制型DICとなる。血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)の上昇は軽度である。



(正答)
b

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 医師国家試験・専門医試験対策