金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2009年10月19日

医師国家試験対策:統合試験過去問より(急性腎盂腎炎)

医師国家試験対策を兼ねて、金沢大学医学部の統合試験過去問の紹介と解説の記事を続けます。


医師国家試験、専門医試験、血液内科試験(輸血学を含む)← 関連記事

 

臨床長文問題

62歳女性。発熱および全身倦怠感のため来院した。
現病歴:1週間前から排尿時痛、頻尿がみられていた。3日前から39度台の高熱、全身倦怠感、口渇、血尿がみられるようになり、増悪するため来院。
既往歴:特記すべきことなし。
現 症:意識は清明。身長158cm、体重64kg。体温39.4℃。脈拍112/分、整。血圧98/62 mmHg。心音、呼吸音異常なし。腹部は平坦で、肝、脾、腎を触知しない。下肢に浮腫を認めない。
検査所見:赤血球348万、Hb 11.7g/dl、白血球11,400、血小板3.8万、PT 16.4秒(基準10〜14)、APTT 37.2秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン180 mg/dl(基準200〜400)、FDP 42μg/ml(基準10以下)、ALT 28単位、LDH 217単位(基準176〜353)、クレアチニン 1.3 mg/dl 、CRP 14.8 mg/dl(基準0.3以下)。血液培養検査で大腸菌が検出された。



1)本症例の血液検査所見として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

a Dダイマーの上昇
b ハプトグロビンの低下
c プロテインC活性の低下
d アンチトロンビン活性の低下
e トロンビン-アンチトロンビン複合体の上昇


2)本症例の治療として、正しいのはどれか。1つ選べ。


a 血漿交換
b 利尿剤の投与
c トラネキサム酸の投与
d アンチトロンビン濃縮製剤の投与
e 遺伝子組換え活性型第VII因子製剤の投与

 

【作問のねらい】

本症例は、膀胱炎から急性腎盂腎炎をきたし、菌血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併している。

ハプトグロビンの低下は溶血でみられる所見であり、DICとは無関係である。

治療は、血漿交換はTTPの治療、利尿剤の投与は本症例では脱水状態で不適、トラネキサム酸はDICに対して禁忌、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤血友病インヒビター治療薬である。

【正答】

1)b

2)d

 


【シリーズ記事】

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

金沢大学第三内科HPへ 

金沢大学第三内科ブログへ 

研修医・入局者募集

研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:27| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須