金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2010年03月08日

金沢大学呼吸器内科(肺癌):研究室紹介(5)

金沢大学呼吸器内科(間質性肺炎):研究室紹介(4)から続く。

  

【呼吸器研究グル−プ(5)】

<肺癌グループ

2002年9月に全く新しいタイプの肺癌治療薬ゲフィチニブ(イレッサ)が登場しました。

本剤はEGFRチロシンキナーゼの阻害薬であり、その効果はEGFR遺伝子の変異の有無に依存しています。

この有効性とは別に、EGFR遺伝子変異が肺癌の予後良好因子であり、一方K-ras遺伝子変異が肺癌の予後不良因子であることを明らかにしました(丹保先生)。

ゲフィチニブは著効を示しても、数ヶ月から数年の内にその効果が消失しますが、次の戦略をどうするかが重大な問題となっています。そこで、EGFR-TKI耐性株を用いて、抗がん剤感受性とその機序を明らかにする研究を開始しました(酒井先生)。

また、分子標的薬ゲフィチニブ感受性規定因子としての血中EGFRの検討 (曽根先生)、流血中DNAを用いた肺癌のバイオマーカー探索(木村先生)などの基礎研究も進行中です。


臨床研究では、

1)高齢者進行非小細胞肺癌に対するVinorelbine、Gemcitabine 隔週投与後、Gefitinibを逐次投与する臨床第II相試験(症例集積終了)

2)IIIB、IV期非小細胞肺癌に対するVinorelbineとCarboplatinの併用化学療法後Gemcitabineを逐次療法として追加する第II相臨床試験(症例集積終了)

3)局所進行非小細胞肺癌に対するDocetaxel / Cisplatin導入化学療法後Docetaxel 毎週投与併用下胸部放射線照射の逐次併用療法の検討 (症例集積終了)

4)ゲフィチニブ奏効後の再発非小細胞肺癌症例に対する毎週投与パクリタキセルとゲフィチニブ併用療法

5)EGFR遺伝子変異陰性非小細胞肺癌に対するErlotinibの有用性予測因子を探索する第II相試験-バイオマーカー研究-

 

などが順調に進行しています。

 (続く)

金沢大学呼吸器内科(臨床・学位研究):研究室紹介(6)

 


【関連記事】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 【リンク】

金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12| 呼吸器内科 | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須