金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2010年04月05日

国際血栓止血学会(ボストン)便り:同門会報より

今回も、金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の同門会報での記事を紹介させていただきます。
学会便りを、シリーズでお届けしたいと思います。

リンク;
播種性血管内凝固症候群(DIC)
血液凝固検査入門

凝固異常症の遺伝子解析
抗リン脂質抗体症候群(APS)

 


第22回国際血栓止血学会
(XXII Congress The International Society on Thrombosis and Haemostasis)

学会便り by 山崎雅英


XXII Congress of The International Society on Thrombosis and Haemostasisは、2009年7月11日から16日の日程で米国・Boston(Boston Convention & Exhibition Center)にて開催されました。

この学会は2年に1度開催される、血栓止血学領域では最大の国際学会です。今回は世界70カ国から約3,000名の研究者が集まり活発な発表、討議が行なわれました。


本学会では毎回、第1,2日目に“Scientific Standardization Committee(SSC,学術標準化委員会)”が開催されます。SSCは、血栓止血学に関する診断基準や試薬の標準化を進める国際委員会で、日本が伝統的にイニシアチブを取っているDIC委員会をはじめ、凝固第VIII&IX因子、XIII因子委員会、線溶委員会、悪性腫瘍と血栓止血委員会など、全部で18の委員会があります。


私は日本血栓止血学会SSCの「抗リン脂質抗体部会」の部会長を本年度より拝命していることもあり、専門としている、「ループスアンチコアグラント・抗リン脂質抗体部会」の討議に参加しました。

抗リン脂質抗体症候群は「抗リン脂質抗体」という自己抗体の存在により、反復性動・静脈血栓症または習慣流産・子宮内胎児死亡などの不育症をきたす自己免疫疾患です。

この抗リン脂質抗体症候群の診断に欠かせない「ループスアンチコアグラント」の診断基準については、検体処理方法、検査法の選択、判定基準などについて曖昧な部分が多々あったのですが、本年度のSSCで診断基準が改訂されました。

この改訂診断基準の詳細については日本検査血液学会雑誌 10巻3号に記載しましたが、改訂診断基準についても、実際に測定している立場からすると感度の問題、判断基準など不備が目につきますので、今後日本血栓止血学会SSC部会として科学的根拠を蓄積し、再改訂を訴えていく必要があると考えています。

第2日(7月12日)の夕方に。。。。

(続く)

国際血栓止血学会便り:抗凝固療法ほか  へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

凝固異常症の遺伝子解析

抗リン脂質抗体症候群(APS)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 血栓止血(血管診療) | コメント(0)

◆この記事へのコメント:

※必須