金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年07月26日

小児の感染症惹起抗リン脂質抗体症候群:小児APS(10)

小児の劇症型抗リン脂質抗体症候群:小児APS(9)より続く。

 
 
【小児の感染症惹起抗リン脂質抗体症候群】


小児では成人と比較して、ウイルスや細菌感染後に一過性に抗リン脂質抗体(aPL)が出現しやすいことが知られています(参考:血液凝固検査入門)。

通常は抗リン脂質抗体症候群(APS)の臨床症状とは関連せず無症状のため、見過ごされることが多いのが現状です。

APS発症の危険性は少ないのですが、まれに血栓症や出血を合併することがあります。

APSを発症しやすい感染症としては、以下が知られています。

・パルボウイルスB19
・サイトメガロウイルス
・水痘ウイルス
・HIV
・ブドウ球菌や連鎖球菌感染
・グラム陰性菌
・マイコプラズマ など。

なお、ループスアンチコアグラント(LA)陽性で低プロトロンビン血症を認め、しばしば出血をきたす病態を、LA-hypoprotrhombinemia syndromeと呼んでいます。

Bajaj SP, et al.: Acquired hypoprothrombinemia due to non-neutralizing antibodies to prothrombin: mechanism and management. Blood 65: 1538-1543, 1985.


(続く)

小児抗リン脂質抗体症候群の治療:小児APS(11)



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43| 血栓性疾患