金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年08月13日

病院工事とアスペルギルス感染症:HEPAフィルター&LAFの効果

ラミナエアフロー(LAF)の効果/アスペルギルス感染症の危険因子 より続く

 

Q 病院改築や工事の影響は?

A 病院の改築・改修工事がありますと、血液がんなど免疫不全の患者におけえる真菌感染症(特にアスペルギルス感染症)が増加します。

その場合、HEPAフィルターラミナエアフロー(LAF)によるアスペルギルス感染予防効果が報告されています。

Barnes RA, Rogers TR. Control of an outbreak of nosocomial aspergillosis by laminar air-flow isolation. J Hosp Infect. 1989 Aug;14(2):89-94.

Alberti C, Bouakline A, Ribaud P, Lacroix C, Rousselot P, Leblanc T, et al. Relationship between environmental fungal contamination and the incidence of invasive aspergillosis in haematology patients. J Hosp Infect. 2001 Jul;48(3):198-206.


なお、隔離予防策に、voriconazoleかcaspofunginの予防的抗真菌療法を加えることにより、病院改築中でも、急性白血病患者における侵襲性アスペルギルス症発症率は12%から4.5%に低下したという報告があります。

Chabrol A, Cuzin L, Huguet F, Alvarez M, Verdeil X, Linas MD, et al. Prophylaxis of invasive aspergillosis with voriconazole or caspofungin in patients with acute leukemia during building works. Haematologica. 2009 December 8, 2009:haematol.2009.012633. 

 

(続く)  HEPAフィルターとLAF: インデックス へ

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 血液疾患(汎血球減少、移植他)