金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年4月26日

造血幹細胞移植の成績:造血幹細胞移植入門(61)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植の成績

支持療法や前処置、HLA検査法は毎年改良を重ね、造血幹細胞移植の成績は向上しています。

治療成績は患者や病気の状態により異なります。

日本造血細胞移植学会のウェブページから、最新の情報が誰でも閲覧できます。

日本造血細胞移植学会. http://www.jshct.com/. 2010.

なお、生存率には一定の誤差があり、各移植法の優劣を示すものではありません。


(おわりに)

一般に、造血幹細胞移植を受ければ、通常の化学療法に比べて、その病気が治る可能性は高まります。

しかし、重い合併症が起こり日常生活に支障が生じたり、命を落としたりする人が増える可能性があります。

同種骨髄または末梢血幹細胞移植の場合、ドナーには、造血幹細胞採取に伴う危険性や、会社や学校を休むといった不都合が生じます。

患者や家族、ドナーは、これらを担当医などから十分に説明を受け、納得した上で、治療にのぞむ必要があります。

造血幹細胞移植にたずさわる医療スタッフは、造血幹細胞移植の効果や毒性、管理法を十分理解するとともに、患者・家族の声に耳を傾け、血液難病と果敢に闘っている患者・家族を心身両面で支えられるようにありたいと思います。

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:51 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年4月25日

HLA半合致移植後再発とHLA欠失:造血幹細胞移植入門(60)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:HLA半合致移植後再発におけるHLAの欠失


HLA半合致移植後再発例で、ドナー・ホスト間でシェアしていないHLAが白血病細胞から欠失することがあり、同種免疫を逃れる新機序として注目されています。


Vago L, Perna SK, Zanussi M, et al. Loss of mismatched HLA in leukemia after stem-cell transplantation. N Engl J Med. 2009;361:478-488.

Villalobos IB, Takahashi Y, Akatsuka Y, et al. Relapse of leukemia with loss of mismatched HLA due to uniparental disomy following haploidentical hematopoietic stem cell transplantation. Blood. 2010.



もしマイナー抗原に同様の欠失が生じていれば、同じドナーから移植しても同種免疫効果が得られる可能性は低いです。

再移植に初回と異なるドナーを選んでも成績に差はないとされていましたが、この議論が再燃しています。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年4月24日

移植後再発モニタリングの実際:造血幹細胞移植入門(59)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後再発モニタリングの実際

移植前に、変異遺伝子や融合遺伝子、WT1など、微小残存病変(minimal residual disease: MRD)の指標となる分子マーカーをあらかじめ決定しておきます。

移植直前のMRD解析は重要です。

特に、急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:ALL)の場合、移植前MRDの有無は移植後再発や無病生存に影響します。

急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia:AML)も、移植前WT1量と予後の関連が報告されています。


移植前MRD陽性急性白血病の場合、移植後1年を目安に毎月MRDを評価し、陽性時は免疫療法を考慮します(保険診療外)。

移植前MRD陰性例も同様の対応で良いですが、2-3か月に1回でいいかもしれません。

移植100日時点のMRD有無は、予後を大きく左右します(特にALL)。

慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)の場合、移植後のMRDモニタリングはチロシンキナーゼ阻害薬使用時に準じて行います。



骨髄腫の移植後完全寛解率は低いですので、再発モニタリングはPCR法よりフローサイトメトリー法や免疫固定法を用いることが多いです。

末梢血より骨髄を用いた方がMRD検出感度は高いですが、繰り返し検査には末梢血が向いています。

どちらが良いか、今のところコンセンサスはありません。

MRDモニタリング法は標準化されておらず、精度・再現性とも不十分です。

特に先制攻撃的免疫療法は毒性の問題があり、1回MRD陽性だけでは適応を躊躇することがあります。その場合、2-4週後の再検査を考慮します。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年4月10日

移植後再発モニタリングの意義:造血幹細胞移植入門(58)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後再発モニタリングの意義

移植後再発は予防できない上、一旦再発すると治療は難しいです。

ただし、微小残存病変(minimal residual disease: MRD)で再発を発見すれば、DLIなど免疫療法の効果が得られやすいです。


MRD解析は、原則として、腫瘍細胞が有する分子マーカーのPCR法で行います(下表)。



MRDモニタリング法

方 法 検 出 感 度
染色体(細胞遺伝学的)検査 5%
FISH法 1%
フローサイトメトリー法 1%
フローサイトメトリー法(マルチパラメーター) 0.1%
PCR法(キメリズム解析) 1%
PCR法(変異遺伝子) 1%
PCR法(WT1) 0.1%
PCR法(融合遺伝子) 0.01%
PCR法(VDJ・TCR塩基配列特異的) 0.01%



さらに、染色体検査やフローサイトメトリー法なども組み合わせて評価します。

MRD検出感度を高めるため、腫瘍細胞分画(例えばCD34陽性)に濃縮してPCR解析しても良いです。

ただし、AML1-ETO融合遺伝子など一部の遺伝子解析は、感度が高まると疑陽性が増える恐れがあるので注意します。


適切な分子マーカーがなければ、MRDモニタリングはキメリズム解析で代用しますが、再発とホスト正常血液細胞回復を区別できないのが難点です。

しかし、混合キメラでは移植片対白血病効果が弱まり再発しやすくなるので、いずれにせよその時点で再発後治療の適応が考慮されます。

ただし、再発低リスクでは、免疫療法の毒性を考慮し、ドナーキメリズムの推移を見守ることもあります。





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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年4月9日

自家造血幹細胞移植後再発:造血幹細胞移植入門(57)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:再発後治療の効果3/自家造血幹細胞移植後再発

心のケア・緩和ケア

患者は、初めて病気を告知されたときより再発時のほうがより強い心理的ストレスを受けます。

したがって、患者に再発を伝える際には、家族やパートナーの同席を求める、専門家に心のケアを依頼する、段階的に伝えるなどの配慮が望ましいです。

長期生存が期待できない場合や患者の希望によっては、緩和ケアも重要な選択肢の1つです。


自家造血幹細胞移植後再発

悪性リンパ腫やMMが主な対象です。

同種移植や免疫療法(抗体療法・サイトカイン療法・養子免疫療法)、分子標的療法などが考慮されます。

今のところエビデンスは十分に蓄積されていません。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:11 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年4月8日

再発後治療の効果2:造血幹細胞移植入門(56)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:再発後治療の効果2


免疫療法

DLI再移植のどちらを第一選択にすべきかについては、エビデンスに乏しいです。

ただし、化学療法直後にG-CSFで動員して採取した末梢血白血球を輸注するDLIと、緩和的前処置後再移植に本質的な差は少ないです。

DLI・再移植の予後良好因子は、初回移植から再発までの期間4-12か月以上、免疫療法時完全寛解・患者年齢20歳未満など、共通することが多いです。

Bosi A, Laszlo D, Labopin M, et al. Second allogeneic bone marrow transplantation in acute leukemia: results of a survey by the European Cooperative Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2001;19:3675-3684.

Eapen M, Giralt SA, Horowitz MM, et al. Second transplant for acute and chronic leukemia relapsing after first HLA-identical sibling transplant. Bone Marrow Transplant. 2004;34:721-727.

Schmid C, Labopin M, Nagler A, et al. Donor lymphocyte infusion in the treatment of first hematological relapse after allogeneic stem-cell transplantation in adults with acute myeloid leukemia: a retrospective risk factors analysis and comparison with other strategies by the EBMT Acute Leukemia Working Party. J Clin Oncol. 2007;25:4938-4945.

Michallet M, Tanguy ML, Socie G, et al. Second allogeneic haematopoietic stem cell transplantation in relapsed acute and chronic leukaemias for patients who underwent a first allogeneic bone marrow transplantation: a survey of the Societe Francaise de Greffe de moelle (SFGM). Br J Haematol. 2000;108:400-407.

Arellano ML, Langston A, Winton E, Flowers CR, Waller EK. Treatment of relapsed acute leukemia after allogeneic transplantation: a single center experience. Biol Blood Marrow Transplant. 2007;13:116-123.



DLIは、再発時ドナー型キメリズム50%超も予後良好因子です。

Bosi A, Laszlo D, Labopin M, et al. Second allogeneic bone marrow transplantation in acute leukemia: results of a survey by the European Cooperative Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2001;19:3675-3684.



DLIの予後良好因子を持つAMLには、DLIが妥当と思われます。

欧州血液骨髄移植グループ(European Blood Marrow Transplantation Group: EBMT)の報告によりますと、DLI時寛解または予後良好染色体の場合、2年生存率は56%と良好でした。

Schmid C, Labopin M, Nagler A, et al. Donor lymphocyte infusion in the treatment of first hematological relapse after allogeneic stem-cell transplantation in adults with acute myeloid leukemia: a retrospective risk factors analysis and comparison with other strategies by the EBMT Acute Leukemia Working Party. J Clin Oncol. 2007;25:4938-4945.



緩和的前処置を用いれば、骨髄破壊的前処置移植で懸念される高い治療関連死亡率は改善します。

Bosi A, Laszlo D, Labopin M, et al. Second allogeneic bone marrow transplantation in acute leukemia: results of a survey by the European Cooperative Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2001;19:3675-3684.

Eapen M, Giralt SA, Horowitz MM, et al. Second transplant for acute and chronic leukemia relapsing after first HLA-identical sibling transplant. Bone Marrow Transplant. 2004;34:721-727.

Michallet M, Tanguy ML, Socie G, et al. Second allogeneic haematopoietic stem cell transplantation in relapsed acute and chronic leukaemias for patients who underwent a first allogeneic bone marrow transplantation: a survey of the Societe Francaise de Greffe de moelle (SFGM). Br J Haematol. 2000;108:400-407.


しかし、再発率の増加により相殺される可能性が高いです。

AML再発の場合、HCT-CI16が再移植の予後に影響する可能性があります。

Bornhauser M, Illmer T, Oelschlaegel U, et al. Gemtuzumab ozogamicin as part of reduced-intensity conditioning for allogeneic hematopoietic cell transplantation in patients with relapsed acute myeloid leukemia. Clin Cancer Res. 2008;14:5585-5593.


予後因子からDLIの効果が期待できず、HCT-CIが2点以下のAML再発に関しては、GOを前処置に組み入れた緩和的前処置再移植を第一選択とすべきかもしれません。

Schmid C, Labopin M, Nagler A, et al. Donor lymphocyte infusion in the treatment of first hematological relapse after allogeneic stem-cell transplantation in adults with acute myeloid leukemia: a retrospective risk factors analysis and comparison with other strategies by the EBMT Acute Leukemia Working Party. J Clin Oncol. 2007;25:4938-4945.

Bornhauser M, Illmer T, Oelschlaegel U, et al. Gemtuzumab ozogamicin as part of reduced-intensity conditioning for allogeneic hematopoietic cell transplantation in patients with relapsed acute myeloid leukemia. Clin Cancer Res. 2008;14:5585-5593.


あるいは、DLIとGOの組み合わせも有望と思われます。

Owonikoko T, Agha M, Balassanian R, Smith R, Raptis A. Gemtuzumab therapy for isolated extramedullary AML relapse following allogeneic stem-cell transplant. Nat Clin Pract Oncol. 2007;4:491-495.

なお、初回移植と異なるドナーを選んでも成績に差はみられませんでした。

Eapen M, Giralt SA, Horowitz MM, et al. Second transplant for acute and chronic leukemia relapsing after first HLA-identical sibling transplant. Bone Marrow Transplant. 2004;34:721-727.

逆に、さい帯血移植など初回移植のドナーから再移植ができない場合、別のドナーを選ぶことは可能と考えられます。

初回移植後4-5か月以内の急性白血病再発には、DLI・再移植単独の効果はほとんど期待できません。

また、再発時期を問わず、ALL血液再発にDLIはほぼ無効です。

DLI・再移植の効果が期待できない場合、サイトカイン療法や養子免疫療法・抗体療法など、より実験的な治療を検討すべきかもしれません。

Arellano ML, Langston A, Winton E, Flowers CR, Waller EK. Treatment of relapsed acute leukemia after allogeneic transplantation: a single center experience. Biol Blood Marrow Transplant. 2007;13:116-123.

Introna M, Borleri G, Conti E, et al. Repeated infusions of donor-derived cytokine-induced killer cells in patients relapsing after allogeneic stem cell transplantation: a phase I study. Haematologica. 2007;92:952-959.

Bashey A, Medina B, Corringham S, et al. CTLA4 blockade with ipilimumab to treat relapse of malignancy after allogeneic hematopoietic cell transplantation. Blood. 2008.





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2011年4月7日

再発後治療の効果1:造血幹細胞移植入門(55)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:再発後治療の効果1

免疫抑制療法中止

CML慢性期再発は免疫抑制療法中止のみで約50%の奏功率が期待できます。

Elmaagacli AH, Beelen DW, Schaefer UW. A retrospective single centre study of the outcome of five different therapy approaches in 48 patients with relapse of chronic myelogenous leukemia after allogeneic bone marrow transplantation. Bone Marrow Transplant. 1997;20:1045-1055.

しかし、他血液腫瘍への効果は不明です。なお、活動性GVHDを有しながら再発した場合、免疫抑制療法をすぐに中止できないことも多いです。



化学療法・放射線治療

免疫療法の有用性を最大限に引き出すため、免疫療法時に完全寛解を達成していることが望ましいです。

Bosi A, Laszlo D, Labopin M, et al. Second allogeneic bone marrow transplantation in acute leukemia: results of a survey by the European Cooperative Group for Blood and Marrow Transplantation. J Clin Oncol. 2001;19:3675-3684.

Eapen M, Giralt SA, Horowitz MM, et al. Second transplant for acute and chronic leukemia relapsing after first HLA-identical sibling transplant. Bone Marrow Transplant. 2004;34:721-727.

Schmid C, Labopin M, Nagler A, et al. Donor lymphocyte infusion in the treatment of first hematological relapse after allogeneic stem-cell transplantation in adults with acute myeloid leukemia: a retrospective risk factors analysis and comparison with other strategies by the EBMT Acute Leukemia Working Party. J Clin Oncol. 2007;25:4938-4945.



急性白血病やCML急性転化再発は、病勢が急速に進行しやすいため、早急に化学療法を行います。

Mortimer J, Blinder MA, Schulman S, et al. Relapse of acute leukemia after marrow transplantation: natural history and results of subsequent therapy. J Clin Oncol. 1989;7:50-57.



CD33陽性AML・Ph陽性ALLの場合、髄外病変に対する効果を期待して、gemtuzumab ozogamicin (GO)・dasatinibの適応を考慮します。

Bornhauser M, Illmer T, Oelschlaegel U, et al. Gemtuzumab ozogamicin as part of reduced-intensity conditioning for allogeneic hematopoietic cell transplantation in patients with relapsed acute myeloid leukemia. Clin Cancer Res. 2008;14:5585-5593.

Owonikoko T, Agha M, Balassanian R, Smith R, Raptis A. Gemtuzumab therapy for isolated extramedullary AML relapse following allogeneic stem-cell transplant. Nat Clin Pract Oncol. 2007;4:491-495.


初回移植後の髄外再発率(10-20%)を減らすため、髄外病変の既往など髄外再発の危険性が高い場合は、初回移植の前処置に組み入れるべきかもしれません。

孤立性髄外再発には放射線治療が推奨されます。

反応性は一般に良好ですが、全身性再発が続発しやすいので、化学療法の併用を考慮します。

Lee JH, Choi SJ, Lee JH, et al. Anti-leukemic effect of graft-versus-host disease on bone marrow and extramedullary relapses in acute leukemia. Haematologica. 2005;90:1380-1388.



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2011年4月6日

移植後白血病再発の特徴:造血幹細胞移植入門(54)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後白血病再発の特徴

移植後白血病再発の特徴は3つあります。

まず、再発時の白血病細胞は増殖能が高いです。

Lapidot T, Sirard C, Vormoor J, et al. A cell initiating human acute myeloid leukaemia after transplantation into SCID mice. Nature. 1994;367:645-648.

そのため、一定のGVL効果がみられても、それを上回る速度で進行するために無効に終わることが多いです。


次に、移植後再発の危険因子が移植時非寛解(抗がん剤治療を繰り返している可能性が高い)・緩和的前処置(骨髄破壊的前処置が困難であった)・高齢であることが示すように、再発時の臓器予備能が低く、再発治療後重篤な臓器障害が起こりやすいです。


さらに、再発後治療により骨髄寛解が得られても、髄外再発しやすいという特徴があります。

DLI後髄外再発は骨髄再発の約2倍起こり、髄外再発にGVM効果は期待できません。

Lee JH, Choi SJ, Lee JH, et al. Anti-leukemic effect of graft-versus-host disease on bone marrow and extramedullary relapses in acute leukemia. Haematologica. 2005;90:1380-1388.




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2011年4月5日

移植後再発治療の評価:造血幹細胞移植入門(53)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後再発治療の評価


再発後治療成績を評価する場合、以下は念頭におく必要があります。

(1)初回移植以上の成績は期待できないこと。

(2)免疫療法を行わない場合の治療成績が極めて不良であること。


初回移植後の5年生存率 は以下の通りです。

・急性骨髄性白血病(AML)45%
・急性リンパ性白血病(ALL)45%
・成人T細胞性白血病リンパ腫(ATL)27%
・慢性骨髄性白血病(CML)58%
・非ホジキンリンパ腫(NHL)5%
・ホジキンリンパ腫(HL)64%
・骨髄異形成症候群(MDS)48%
・多発性骨髄腫(MM)50%

(日本造血細胞移植学会平成20年度全国調査報告書より)


再発後治療の成績はこれが上限となります。

免疫療法を行わない場合、移植後急性白血病再発の5年生存率は5%程度、長期生存率はほぼ0%です。

Mortimer J, Blinder MA, Schulman S, et al. Relapse of acute leukemia after marrow transplantation: natural history and results of subsequent therapy. J Clin Oncol. 1989;7:50-57.


CML慢性期再発は、DLIで初回移植と同等の治療成績が期待できます。

ただし、imatinibにより、移植適応のCMLは激減しています。

低悪性度非ホジキンリンパ腫も、CML慢性期に匹敵する成績が報告されています。

これらを除くと、免疫療法の奏功率は10-30%程度、長期生存率は10-20%です。



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2011年4月3日

移植後再発治療の種類:造血幹細胞移植入門(52)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後再発治療の種類
同種造血幹細胞移植は同種抗腫瘍効果を期待して行われますが、一定の割合で再発し、今のところ再発を防ぐ有効な方法はありません。

しかも、過去20年間再発死亡率は減っていません。

Gratwohl A, Brand R, Frassoni F, et al. Cause of death after allogeneic haematopoietic stem cell transplantation (HSCT) in early leukaemias: an EBMT analysis of lethal infectious complications and changes over calendar time. Bone Marrow Transplant. 2005;36:757-769.


したがって、再発対策は再発後治療が中心となります。


再発治療は、(1)免疫療法、(2)化学療法・放射線治療、(3)緩和ケアに大別されます(以下の表)。



再発後治療の種類と効果(長期寛解率)

1    免疫療法

・免疫抑制療法中止(0%)
・DLI(CML慢性期)(50-80%)
・DLI(AML/MDS)(10-20%)
・DLI(ALL)(0-10%)
・DLI(骨髄腫)    (40-50%)
・DLI(悪性リンパ腫)(10-60%)
・再移植(5-30%)
・サイトカイン療法(0-10%)
・養子免疫療法(10-20%)
・抗体療法(0-5%)

2    化学療法・放射線治療(0-5%)

3    緩和ケア
(0%)


これらを組み合わせて治療することが多いです。

チロシンキナーゼ阻害薬の効果が期待できるCML慢性期再発を除き、移植後再発の長期生存にGVL効果誘導は不可欠です。

長期生存を期待するには免疫療法は不可欠ですが、ランダム化試験で確認されたエビデンスはありません。



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2011年4月2日

非血縁骨髄ドナー・HLA・重症急性GVHD:造血幹細胞移植入門(51)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

GVHDとHLA


造血幹細胞移植入門:HLA型が一部異なった非血縁骨髄ドナーからの移植と重症急性GVHD

日本骨髄バンクを介してHLAが一部異なったドナーから移植を受ける場合、患者とドナーのHLAの組み合わせにより、重い急性GVHDが起こりやすくなるものとそうでないものがあります。

Kawase T, Morishima Y, Matsuo K, et al. High-risk HLA allele mismatch combinations responsible for severe acute graft-versus-host disease and implication for its molecular mechanism. Blood. 2007;110:2235-2241.

重い急性GVHDが起こりやすくなるHLAの組み合わせは「重症急性GVHDハイリスクなHLAの組み合わせ」と呼ばれます(上の表)。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年3月31日

慢性GVHDの治療:造血幹細胞移植入門(50)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:慢性GVHD治療


一次治療


慢性GVHDの標準的な一次治療はステロイドです。プレドニゾロン換算0.5-1.0 mg/kgで開始することが多いですが、ステロイド量と有効性の関連は不明です。

ステロイドにCSPを加えても、慢性GVHD治療効果における上乗せ効果はありませんでしたが、骨頭壊死は減少しました。

Koc S, Leisenring W, Flowers ME, et al. Therapy for chronic graft-versus-host disease: a randomized trial comparing cyclosporine plus prednisone versus prednisone alone. Blood. 2002;100:48-51.

長期ステロイド投与の毒性を考慮しますと、ステロイドの必要量を減らす目的でのCI併用は妥当と思われます。なお、MMFによる一次治療の効果は否定的です。

Martin PJ, Storer BE, Rowley SD, et al. Evaluation of mycophenolate mofetil for initial treatment of chronic graft-versus-host disease. Blood. 2009.



二次治療

ステロイド抵抗性慢性GVHD慢性GVHDに対する二次治療の適応)に、高用量ステロイドやCSPからTACへの変更・シロリムス(以下全て保険未承認)・ECP・ソラレン紫外線療法(PUVA)・サリドマイド・リツキシマブ・MMFなどが試みられてきましたが、急性GVHDと同様、標準的な二次治療はありません。

慢性GVHDに対する二次治療の適応(以下のいずれか)

・一次治療のプレドニゾロン1 mg/kgを2週間投与しても増悪
・4-8週間0.5 mg/kg以上のプレドニゾロンを継続しても改善しない
・症状再燃のためプレドニゾロンを0.5 mg/kg未満に減量できない
 

肺慢性GVHD

閉塞性細気管支炎(BO)などの肺慢性GVHDに、免疫抑制療法は通常無効です。

唯一の根治療法は肺移植ですが、社会的コンセンサスやドナーの問題もあり、適応は難しいです。

Sano Y, Date H, Nagahiro I, Aoe M, Shimizu N. Living-donor lobar lung transplantation for bronchiolitis obliterans after bone marrow transplantation. Ann Thorac Surg. 2005;79:1051-1052.

最近ECPの治療成績が報告され、肺慢性GVHD 6例(54%)に有効でした。6例中1例は完全寛解となり、呼吸器症状は消失、呼吸機能も改善し、免疫抑制療法も離脱しました。

Couriel DR, Hosing C, Saliba R, et al. Extracorporeal photochemotherapy for the treatment of steroid-resistant chronic GVHD. Blood. 2006;107:3074-3080.


実践的な報告として、吸入ステロイドが肺慢性GVHDの進展防止に有用との報告もあります。

Bashoura L, Gupta S, Jain A, et al. Inhaled corticosteroids stabilize constrictive bronchiolitis after hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Transplant. 2008;41:63-67.



局所・支持療法

慢性GVHDの治療は長期間に及び、感染症や臓器障害に対する予防策・治療も予後を左右します。

局所・支持療法は、造血細胞移植ガイドラインに詳述されています。

日本造血細胞移植学会. http://www.jshct.com/. 2010.



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:14 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年3月30日

急性GVHDの二次治療:造血幹細胞移植入門(49)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:急性GVHDの二次治療

二次治療

一次治療抵抗例の予後は不良です。

ATGや高用量ステロイド、CSPからTACへの変更、CD5抗毒素(以下全て保険未承認)、抗IL-2レセプター抗体、TNFα阻害薬、体外光化学療法(ECP)MMF間葉系幹細胞(MSC)療法といった二次治療(サルベージ治療)が試みられていますが、標準治療は確立していません。

強力免疫抑制療法は、急性GVHDが改善しても、重症感染症の誘発により相殺されるという、長年のジレンマがあります。


MSC

MSC療法の第II相試験では、難治性急性GVHD患者の55%に完全寛解が得られました。輸注するMSCが患者のHLAに無関係のthird partyで良いことも利点の1つです。

Le Blanc K, Frassoni F, Ball L, et al. Mesenchymal stem cells for treatment of steroid-resistant, severe, acute graft-versus-host disease: a phase II study. Lancet. 2008;371:1579-1586.



ECP

ECPには、抗炎症作用・樹状細胞制御・調製性T細胞増加・リンパ球アポトーシス促進などの効果があります。第II相試験では、難治性急性GVHD患者の60-80%に完全寛解が得られました。

Gatza E, Rogers CE, Clouthier SG, et al. Extracorporeal photopheresis reverses experimental graft-versus-host disease through regulatory T cells. Blood. 2008;112:1515-1521.


MMF
MMFは、急性・慢性GVHDの二次治療に多用され、有効率は30-90%です。

Mielcarek M, Storer BE, Boeckh M, et al. Initial therapy of acute graft-versus-host disease with low-dose prednisone does not compromise patient outcomes. Blood. 2009;113:2888-2894.

Takami A, Mochizuki K, Okumura H, et al. Mycophenolate mofetil is effective and well tolerated in the treatment of refractory acute and chronic graft-versus-host disease. Int J Hematol. 2006;83:80-85.


MMFは、CIと異なり、血管内皮細胞障害やgraft-versus-leukemia効果への影響はないと考えられています。

国内では、MMFを500-1000 mgで開始し、1000-2000 mgで改善する場合が多いです。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年3月4日

急性GVHDの一次治療:造血幹細胞移植入門(48)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:急性GVHDの一次治療

II度以上の急性GVHDは、CI+ステロイド全身投与の一次治療を考慮します。

ただし、HLA不適合移植や非血縁者間移植など、病状が急速に進行すると予想される場合、I度でもステロイド全身投与を開始してよいです。

逆に、皮膚限局のII度急性GVHDの場合、CI血中濃度を十分に保った上、局所ステロイド療法で様子をみてもよいです。

ステロイド全身投与の標準量は、メチルプレドニゾロン2 mg/kgまたは相当量のプレドニゾロンです。

これを超えるステロイド投与の効果は否定的です。

逆に、ステロイドの初期投与量を減らしても、効果は変わらないとする報告もあります。

治療開始5日目の治療反応性は急性GVHDの予後を反映しやすいので、5-7日目の早期に治療効果判定を行います。



急性GVHDに対する二次治療の適応(以下のいずれか)

・メチルプレドニゾロン2 mg/kgあるいは相当量のプレドニゾロン(2.5 mg/kg)治療開始3日目以降の悪化

・メチルプレドニゾロン2 mg/kgあるいは相当量のプレドニゾロン(2.5 mg/kg)治療開始5日目の時点で改善がみられない




改善不十分なら、速やかに二次治療を考慮します。ただし、二次治療の選択肢は限られており、一次治療を続けざるをえないことも多いです。



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2011年3月3日

GVHD予防の治療薬:造血幹細胞移植入門(47)

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:GVHD予防の治療薬


カルシニュリン阻害薬(CI)+メソトレキセート(MTX)


ATG


ATGはGVHD抑制効果が高いです。ATGの血中半減期は2週間程度ですが、T細胞抑制効果は数年以上持続します。慢性肺GVHD発症抑制など、長期予後を改善する可能性が示されています。

Preville X, Flacher M, LeMauff B, et al. Mechanisms involved in antithymocyte globulin immunosuppressive activity in a nonhuman primate model. Transplantation. 2001;71:460-468.

Bacigalupo A, Lamparelli T, Barisione G, et al. Thymoglobulin prevents chronic graft-versus-host disease, chronic lung dysfunction, and late transplant-related mortality: long-term follow-up of a randomized trial in patients undergoing unrelated donor transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2006;12:560-565.



CI + ミコフェノール酸モフェチル(MMF)

CI + ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、MTXの口内炎や生着遅延を軽減する目的で用いられます(MMFは保険未承認です)。

CSP+MTXと同等のGVHD予防効果、口内炎の減少、生着促進効果が報告されています。さい帯血移植は、生着促進効果のメリットが大きいので、本レジメンは有利です。



シロリムス

タクロリムス+シロリムスで優れたGVHD予防効果が報告されています。

Cutler C, Kim HT, Hochberg E, et al. Sirolimus and tacrolimus without methotrexate as graft-versus-host disease prophylaxis after matched related donor peripheral blood stem cell transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2004;10:328-336.



アレムツズマブ(抗CD52単クローン性抗体)

CI+アレムツズマブは、急性・慢性GVHD両者の予防に有効と報告されています。

Oshima K, Kanda Y, Nakahara F, et al. Pharmacokinetics of alemtuzumab after haploidentical HLA-mismatched hematopoietic stem cell transplantation using in vivo alemtuzumab with or without CD52-positive malignancies. Am J Hematol. 2006;81:875-879.

Perez-Simon JA, Kottaridis PD, Martino R, et al. Nonmyeloablative transplantation with or without alemtuzumab: comparison between 2 prospective studies in patients with lymphoproliferative disorders. Blood. 2002;100:3121-3127.


ATGと同様、サイトメガロウイルスなどの感染症や再発・生着不全を助長する可能性が指摘されていますが、アレムツズマブの減量により改善できるかもしれません。



全身放射線照射前処置(TBI)前処置骨髄移植後G-CSFの影響

TBI前処置骨髄移植直後のG-CSF投与が、急性GVHD発症を誘発する可能性が、動物実験で指摘されました。

Morris ES, MacDonald KP, Kuns RD, et al. Induction of natural killer T cell-dependent alloreactivity by administration of granulocyte colony-stimulating factor after bone marrow transplantation. Nat Med. 2009;15:436-441.

実臨床での影響は不明ですが、この場合はday 5-7以降にG-CSFを開始すべきかもしれません。




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2011年3月2日

GVHD予防/CI+メソトレキセート:造血幹細胞移植入門(46)

 

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:GVHD予防/カルシニュリン阻害薬+メソトレキセート

GVHDの標準予防法は、カルシニュリン阻害薬(CI)メソトレキセート(MTX)です。

CIの2剤、シクロスポリン(CSP)・タクロリムス(TAC)のGVHD予防効果に本質的差異は少ないです。

CIの毒性には、腎毒性・高カリウム血症・低マグネシウム血症・高血糖・高血圧などがあります。

多毛・歯肉腫張はCSPに多く、振戦はTACに多いです。

特にtransplantation-associated microangiopathy (TAM)・posterior reversible encephalopathy syndromeは重篤な毒性であり、発症が疑われればCIを減量か中止します。

CIの投与法は日本造血細胞移植学会ガイドラインに従います。


GVHD予防法プロトコール(CSP+MTX または TAC+MTX)

MTX
15または10 mg/m2 (i.v.)day 1
10または7 mg/ m2 (i.v.)day 3, 6,(11)

CSP
3 mg/kg(d.i.v) 2分割または持続投与(day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50 以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止。

TAC
0.02-0.03 mg/kg(d.i.v.)持続投与( day -1から)
経口投与可能になれば、d.i.v.の2-3倍量を2分割投与
Day 50以降週に5%ずつ減量、GVHD発症なければ6か月で中止




腎障害により適宜増減します。

Przepiorka D, Devine S, Fay J, Uberti J, Wingard J. Practical considerations in the use of tacrolimus for allogeneic marrow transplantation. Bone Marrow Transplant. 1999;24:1053-1056.

Hendriks MP, Blijlevens NM, Schattenberg AV, Burger DM, Donnelly JP. Cyclosporine short infusion and C2 monitoring in haematopoietic stem cell transplant recipients. Bone Marrow Transplant. 2006;38:521-525.


腎障害に応じたCSP・TAC用量調整

1. CSP

血清クレアチニン値    CSP量
1.0-1.5 x baseline    0-25%減量
1.5-2.0 x baseline    25-50%減量*1
2.0-2.5 x baseline    50-75%減量*1
>2.5 x baseline または ≥2.0 mg/dL    中断、腎機能改善後50%量で再開*1

2. TAC
血清クレアチニン値    TAC量
1.0-1.5 x baseline    0-25%減量
1.5-2.0 x baseline    50-75%減量*1
>2.0 x baseline    中断、腎機能改善後50%量で再開*1

*1. 肝障害やシトクロムP450抑制性薬剤使用時は、CSP・TACのクリアランスが遅延する恐れがあるので、可能な限り頻回に血中濃度を測定して調製する。




なお、末梢血幹細胞移植やHLA不適合移植など、GVHDのリスクが高いと予想される場合、GVHD未発症でも、減量開始時期を2-3か月まで遅らせても良いです。

短期MTXの原法は4回法ですが、国内は海外よりGVHDが少ないため、day 11を省略する3回法が多いです。

ただし、末梢血幹細胞移植の場合、3回法は生存率を悪化させる可能性が示唆されています。

Bensinger W. Individual patient data meta-analysis of allogeneic peripheral blood stem cell transplant vs bone marrow transplant in the management of hematological malignancies: indirect assessment of the effect of day 11 methotrexate administration. Bone Marrow Transplant. 2006;38:539-546.


MTXの1回投与量を減じる変法は、HLA一致同胞間移植を中心によく行われています。



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2011年3月1日

慢性GVHDのの症候・臓器スコア:造血幹細胞移植入門(45)

 

慢性GVHD1

 

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:慢性GVHDのの症候・身体所見・診断・検査

慢性GVHDでは、皮疹や口腔・眼球乾燥感、黄疸、呼吸困難、関節症状といった膠原病に類似した症状がみられます。

慢性GVHDの診断は、Diagnostic signかdistinctive sign(上表)が1つ以上存在し、GVHD類似疾患の除外により診断されます。

Distinctive signは病理診断による確認が望ましいですが、臨床的診断も許されます。これら以外の慢性GVHD所見(ネフローゼ症候群など)を認める場合、参考所見として記録します。

慢性GVHD臓器スコア(下表)を指標に、軽症・中等症・重症に分類します。


慢性GVHD2


慢性GVHDの重症度分類


軽症(mild):スコア1が2臓器以内。ただし肺スコア=0
中等症(moderate) :スコア2が1臓器以上、またはスコア1が3臓器以上、または肺スコア=1
重症(severe) :肺=スコア2、またはスコア3が1臓器以上

チャート


慢性GVHDは、先行する急性GVHDとの関連から、3型に分類されます。Progressive型が最も予後不良です。


慢性GVHDの発症様式

Progressive型
:活動性急性GVHDから移行した慢性GVHD
Quiescent型:急性GVHDが軽快したのち発症した慢性GVHD
De novo型:急性GVHDが先行せず発症した慢性GVHD




 
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2011年2月28日

急性GVHDの分類:造血幹細胞移植入門(44)



ステージ分類


(a) ビリルビン上昇、下痢、皮疹をひきおこす他の疾患が合併すると考えられる場合はstageを1つ落とす。合併症が複数存在する場合や急性GVHDの関与が低いと考えられる場合、stageを2-3落としても良い。
(b) 火傷における「9の法則」を適応。
(c) 3日間の平均下痢量。
(d) 胃・十二指腸の組織学的証明が必要。
(e) 消化管GVHDのstage 4は、3日間平均下痢量>1,500 mLかつ、腹痛または出血(visible blood)を伴う場合を指す。腸閉塞の有無は問わない。



 
重症度分類

注1) ECOG performance status (PS) = 4の場合、臓器障害がstage 4に達しなくともgrade IVとする。
注2) 各臓器障害のstageのうち、1つでも満たしていればそのgradeを適用する。
注3) 「-」は障害の程度が何であれgradeには関与しない。



造血幹細胞移植入門:急性GVHDの分類

急性GVHDは、発熱や皮疹、黄疸、下痢などの症候や生検で診断し、治療方針決定のため、ステージ分類・重症度分類を行います。

 



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2011年2月27日

GVHDの病態・疫学:造血幹細胞移植入門(43)

GVHDの分類

 



造血幹細胞移植入門:GVHDの病態・疫学

GVHDは、造血幹細胞移植時に輸注されるドナーのリンパ球が、患者の組織・臓器を攻撃する免疫反応です。

同種移植後GVHDの他、抗腫瘍効果を期待して、自家造血細胞移植後人工的に誘導する自家GVHDもあります。
 

GVHDには、移植後100日以内に起こりやすい急性GVHDと、100日を過ぎてから起こりやすい慢性GVHDがあります(上表)。

Filipovich AH, Weisdorf D, Pavletic S, et al. National Institutes of Health consensus development project on criteria for clinical trials in chronic graft-versus-host disease: I. Diagnosis and staging working group report. Biol Blood Marrow Transplant. 2005;11:945-956.


ただし、移植100日以降の急性GVHDや、100日以内の慢性GVHDもあります。
 

急性・慢性GVHDの症状が同時に起こりますと、慢性GVHDに分類されます。

急性GVHDの発症機序として3段階モデルが提唱されています。


急性GVHD発症:3段階モデル30

 

第一段階:ホスト抗原提示細胞活性化
・前処置による組織傷害
・炎症性サイトカイン増加、消化管粘膜傷害によるエンドトキシンの体内流入
・ホスト抗原提示細胞(主に樹状細胞)活性化
・ドナーTリンパ球によるホスト由来抗原認識増強

第二段階:ドナーT細胞活性化

・ホスト抗原提示細胞によるドナーT細胞の活性化
・マクロファージ活性化と細胞傷害性T細胞増加
・抑制性T細胞(Treg)増加

第三段階:組織傷害

・炎症性ケモカイン増加によるT細胞・単球・顆粒球の活性化と組織への遊走
・マクロファージ、細胞傷害性T細胞、炎症性サイトカインによる組織傷害
 


Ferrara JL, Levine JE, Reddy P, Holler E. Graft-versus-host disease. Lancet. 2009;373:1550-1561.


慢性GVHDは、自己抗体が高頻度に検出されることから、膠原病に類似した自己免疫機序が考えられています。

ただし、適切な動物モデルが存在しないことから、病態は不明な点が多いです。

日本造血細胞移植学会平成20年全国調査報告書によりますと、II度以上急性GVHD発症率は、血縁者間骨髄移植25%、血縁者間末梢血幹細胞移植35%、非血縁者間骨髄移植42%、非血縁者間さい帯血移植33%でした(下図)。
急性GVHD発症率
 

慢性GVHD発症率は、血縁者間末梢血幹細胞移植後が最も高かったです(下図)。同種移植患者の10-30%はGVHD関連合併症で死亡しますので、GVHD治療は重要です。

慢性GVHD発症率



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)

2011年2月24日

GVHD予防・治療の意義:造血幹細胞移植入門(42)



造血幹細胞移植入門:GVHD予防・治療の意義

造血細胞移植の成功率を高める上で、GVHD予防・治療は重要です。

移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
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ただし、GVHDの治療方針に厳格な指標は無く、担当医の経験とさじ加減に委ねられている部分も大きいです。

特に慢性GVHDの場合、複数臓器病変の長期管理・長期免疫抑制による日和見感染症対策・皮膚や関節の後遺障害・進行性肺病変・心のケアなど、解決すべき課題は山積しています。

全国規模の後ろ向き研究を実施し、膨大な臨床情報を収集・解析すべきと思われます。

標準治療に反応しない難治性GVHDへの治療選択肢は限られることから、海外で有効性が示されている治療法を国内に導入するための基盤整備が望まれます。



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