金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年04月06日

移植後白血病再発の特徴:造血幹細胞移植入門(54)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門:移植後白血病再発の特徴

移植後白血病再発の特徴は3つあります。

まず、再発時の白血病細胞は増殖能が高いです。

Lapidot T, Sirard C, Vormoor J, et al. A cell initiating human acute myeloid leukaemia after transplantation into SCID mice. Nature. 1994;367:645-648.

そのため、一定のGVL効果がみられても、それを上回る速度で進行するために無効に終わることが多いです。


次に、移植後再発の危険因子が移植時非寛解(抗がん剤治療を繰り返している可能性が高い)・緩和的前処置(骨髄破壊的前処置が困難であった)・高齢であることが示すように、再発時の臓器予備能が低く、再発治療後重篤な臓器障害が起こりやすいです。


さらに、再発後治療により骨髄寛解が得られても、髄外再発しやすいという特徴があります。

DLI後髄外再発は骨髄再発の約2倍起こり、髄外再発にGVM効果は期待できません。

Lee JH, Choi SJ, Lee JH, et al. Anti-leukemic effect of graft-versus-host disease on bone marrow and extramedullary relapses in acute leukemia. Haematologica. 2005;90:1380-1388.




【関連記事】 
幼若血小板比率(IPF)/網血小板(10回シリーズ)
肝障害/黄疸症例の抗がん剤治療(7回シリーズ)
腎障害と抗がん剤治療(5回シリーズ)
HEPAフィルターとLAF(3回シリーズ)
造血幹細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)の分類と診断
血球貪食症候群(HPS)(8回シリーズ)
溶血性貧血(PNH、AIHAほか) (8回シリーズ)
造血幹細胞移植後の再発(4回シリーズ)
造血幹細胞移植前処置としてのATG(6回シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC:図解シリーズ)


【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 血液疾患(汎血球減少、移植他)