金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年08月24日

著しい肝障害/黄疸症例と抗がん剤治療の実際

CTCAE:抗がん剤と肝障害  から続く。

 

著しい肝障害/黄疸のある患者に抗がん剤治療の実際

 各薬剤に応じて、用量調整か変更を行います。

Superfin D, Iannucci AA, Davies AM. Commentary: Oncologic drugs in patients with organ dysfunction: a summary. Oncologist. 2007 Sep;12(9):1070-83.

Tchambaz L, Schlatter C, Jakob M, Krahenbuhl A, Wolf P, Krahenbuhl S. Dose adaptation of antineoplastic drugs in patients with liver disease. Drug Saf. 2006;29(6):509-22.


抗がん剤の用量調整には、以下の3つの方法があります。

1) 投与間隔を変えず、1回投与量を減らす。

2) 1回投与量を変えず、投与間隔を空ける。

3) 1回投与量を減らし、投与間隔も空ける。

 

抗がん剤の種類と肝機能により、用量調整の方法が決まります。

ただし、全ての抗がん剤で用量調整法が確立しているわけではありません。

個別の薬剤情報に関しては、薬剤を販売している製薬会社へ照会するようにつとめます。臨床医の経験も重要な要因であり、使用経験の多い医師へ相談するのもよいです。

抗がん剤治療前からgrade 3以上の肝毒性(CTCAE)に相当する肝障害を認めている場合、抗がん剤の種類にかかわらず、抗がん剤の使用により全身状態が著しく悪化する可能性がああります。

たとえ抗がん剤が直接肝障害を来さなかったとしても、高度の血球減少や重症感染症の発症、抗菌薬の影響などにより、間接的に肝障害を来す可能性もあります。

臨床試験は重症肝障害患者を除いて行われることが多いですので、安全性に関する情報は決定的に不足していることが多いです。

期待される有効性と、臨床情報および医師の経験から予想される毒性を天秤にかけ、患者と十分話し合いながら、抗がん剤治療の適応を判断することになります。

参考として、用量調整の目安を、次回のブログ記事で表として示したいと思います。

 

(続く)

肝障害症例に抗がん剤を投与する際の用量調整(1)

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:01| 血液疾患(汎血球減少、移植他)