金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年12月19日

血液内科問題(DIC):(兼)医師国家&専門医 試験対策

金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。

今回は、播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する臨床問題です。

管理人の予想に反して、この問題の正答率は若干低めでした。80%以上の正答率を予想していましたので、やや残念です。。。

 


播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。

a)    PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であれば、DICを否定できる。

b)    線溶抑制型DICでは、血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)が正常である。

c)    固形癌に合併したDICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が正常である。

d)    敗血症に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。

e)    急性前骨髄球性白血病に合併したDICでは、血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する。



 



(解説)

a)    PT、フィブリノゲン、血小板数ともに正常であっても、FDPが著増していればDICである場合がある(参考:Dダイマーとは)。

b)    線溶抑制型DICであっても、あるいは他の病型のDICであっても、DICであれば、凝固活性化マーカーである血中プロトロンビンフラグメント1+2(F1+2)は上昇する。

c)    DICでは、どのような基礎疾患に合併したDICであっても、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は上昇する。

d)    敗血症では強い炎症反応のため、フィブリノゲンは上昇する(フィブリノゲンは炎症反応として上昇する)。DICを合併してもフィブリノゲンはあまり低下しない(参考:敗血症に合併したDICの発症機序)。

e)    急性前骨髄球性白血病(APL)は、著しい線溶活性化をきたす。線溶活性化マーカーである血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)は著増する。



 

 (正答) e)

 

(正答率)70.8%

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 医師国家試験・専門医試験対策