金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年08月02日

凝固と炎症のクロストーク4:TLR2&4/ヒストン、肝障害

凝固と炎症のクロストークに関する論文(ヒストン関連)を紹介させていただいています。

今回紹介させていただく論文は、このシリーズの最後になります。

凝固と炎症のクロストーク(ヒストン関連)ー インデックス ー

ISTH/DIC部会(SSCシンポジウム)ーインデックスー

 

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敗血症と凝固・DIC/抗炎症効果(活性化プロテインC)

 


Extracellular Histones Are Mediators of Death through TLR2 and TLR4 in Mouse Fatal Liver Injury.

Xu J, Zhang X, Monestier M, Esmon NL, Esmon CT.

J Immunol.
2011 Jul 22. [Epub ahead of print]



細胞外ヒストン(extracellular histones)は、敗血症死亡における主たるメディエーターです。

ヒストンを投与しますと、サイトカインレベルが上昇します。

ヒストンは、TLR2およびTLR4を活性化しますが、この反応はDNAに結合することで増強します。

TLR4の活性化が、ヒストン依存性のサイトカインレベル上昇に関与しています。

著者らは、ヒストンの遊離が病態にどの程度影響を与えているかを2つのモデルを使用して検討しました。

一つは、Con AでT細胞を活性化させた炎症モデル、もう一つはacetaminophen中毒モデルです。

どちらのモデル(炎症モデル・中毒モデル)においてもヒストンが遊離されて、抗ヒストン抗体は防御的に作用しました。

TLR2- or TLR4-null mice においても防御的に作用しました。


以上、炎症性障害や化学物質で誘発された細胞障害において、ヒストン遊離が致命的に作用し、TLRsが少なくとも部分的に関与しているものと考えられました。


 
 
 
【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| DIC