金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年09月13日

血液内科試験:出血症状、APTT延長


内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学の問題紹介と解答を続けます。

今回の問題は、出血症状の問題です。

 

14.    23歳女性.幼少時よりしばしば鼻出血を認めていた.3ヶ月前の出産時に大量出血をきたし止血が困難であったため、近医産婦人科より紹介された.

血液学的検査:白血球 6,800、赤血球 362万、Hb 12.0g/dl、血小板 22.6万、PT 11.2秒(基準10〜14)、APTT 67.4秒(基準対照32.2)、FDP 4μg/ml(基準10以下).

妹にも同じ疾患があった.

この患者にみられる検査所見として誤っているのはどれか.1つ選べ.


a.    出血時間の延長

b.    巨大血小板の出現

c.    血小板粘着能の低下

d.    血液凝固第VIII因子の低下

e.    血小板リストセチン凝集能の低下

 

解説)

幼少時からの出血傾向、妹にも同じ疾患があったことから、先天性の出血性疾患が疑われます。

出血は鼻出血ですから、粘膜出血です。先天性出血性疾患としては、血友病も有名ですが、血友病は関節内出血、筋肉内出血が特徴的です(特に、関節内出血)。

この症例は、PTは正常ですが、APTTが延長しています。
APTTが延長する代表的な先天性出血性疾患としては、血友病A、血友病B、von Willebrand病があります。

von Willebrand病のポイント言えば、常染色体優性遺伝、粘膜出血(鼻出血など)、APTT&出血時間延長、PT正常、治療はDDAVPまたは血漿由来血液凝固第VIII因子製剤であるコンファクトF、と言ったところです。

本症例は、von Willebrand病です。

a.    von Willebrand病では、出血時間が延長します。

b.    巨大血小板の出現する疾患としては、特発性血小板減少性紫斑病、Bernard-Soulier症候群(BSS)、May-Hegglin症候群などが有名です。

c.    von Willebrand病とBernard-Soulier症候群(BSS)では、血小板粘着能が低下します。

d.    血液凝固第VIII因子の低下がみられる疾患としては、血友病A、後天性血友病Avon Willebrand病があります。

e.    血小板リストセチン凝集能の低下がみられる疾患は、 von Willebrand病とBernard-Soulier症候群(BSS)です。

 

 

正答) b

 

【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 22:50| 医師国家試験・専門医試験対策