金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年09月22日

CBT問題(コアカリ):関節内出血

CBT問題(コアカリ)を続けたいと思います。

 


17歳の男子。一昨日、自転車で転倒し右肘を打撲した。打撲した箇所の腫脹により右肘をまげられなくなったため来院した。

幼少時より、打撲すると皮下出血や腫脹が起きやすかった。同じ症状が母方の従兄弟にもみられる。

血液所見:赤血球530万、Hb15g/dL、白血球7,600、血小板23万。PT11.1秒(基準対照11.3)、APTT 67秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン160mg/dL(基準155〜300)。

最も考えられるのはどれか。

 

A.    血栓性血小板減少性紫斑病
B.    血友病
C.    再生不良性貧血
D.    特発性血小板減少性紫斑病
E.    播種性血管内凝固症候群
F.    ビタミンK欠乏症
G.    閉塞性動脈硬化症
H.    慢性骨髄性白血病

 

(解説)

幼少時から、関節内出血、打撲箇所の出血が見られています。母方の従兄弟にも同じ症状の者がおり、伴性劣性遺伝の疾患と考えられます。

血液検査ではAPTTの延長がみられていますが、PTは正常です(記載はありませんが、出血時間も正常でしょう)。

APTTの延長する代表的な疾患は、血友病A、血友病B、von Willebrand病抗リン脂質抗体症候群(ループスアンチコアグラント陽性例)です。

ビタミンK欠乏症(後天性疾患)でもAPTTが延長することがありますがあまり目立たないことが多く、むしろPT延長の方が目立つ所見です。

ビタミンK欠乏症では、ビタミンK依存性凝固因子のうち半減期の最も短い第VII因子の低下が早いです(第VII因子はPTでは反映されますが、APTTでは反映されません)。



(正答) B

 

 

【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:19| 医師国家試験・専門医試験対策