金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年02月15日

DICの治療:固形癌

DICの治療:敗血症より続く

DICの治療(基礎疾患別)(12)固形癌

固形癌に合併したDICの治療

DICを合併した固形癌においては多くの場合、全身転移をともなった進行癌症例であることが多いです(参考:悪性腫瘍(癌)とDIC)。

換言すれば、早期癌でDICを合併することは極めて例外的です。

基礎疾患に対して化学療法を行うことで腫瘍量が低下する場合にはDICのコントロールは容易ですが、腫瘍量の低下が期待できない場合のDIC治療は困難です。


DIC治療を行っても、予後改善効果がほとんど期待できない場合は、DIC治療を行わないのも一つの考え方です。

その場合であっても、出血予防のための、PCやFFPの輸注は意味のある場合があります。


一方、進行癌であってもDICの治療を行うことで、十分な予後改善が期待できる場合も少なくないです。

この場合は、DIC治療の意義は高いです。

著者らは、進行癌でDICを合併していたにもかかわらず、DICの治療により、1年以上の生命予後が可能となった症例を蓄積しています。


抗凝固療法としては、ダナパロイド1,250単位×2回/日(腎不全例や低体重例では1回/日に減量)または低分子ヘパリン75単位/kg/24時間の投与を行います。

慢性DICの経過をとっていて、患者を24時間持続点滴で拘束したくない場合には、ダナパロイドによる加療の方が有用です。


一部の固形癌(前立腺癌、悪性黒色腫、大腸癌や肺癌の一部)に合併したDICでは線溶活性化が著しく、重症の出血症状を伴った線溶亢進型DICの病型となることがあります(参考:悪性腫瘍(癌)とDIC)。

この場合には、メシル酸ナファモスタット(商品名:フサン)、またはヘパリン類トラネキサム酸併用療法が、出血症状に対して著効します(その結果、PCやFFP使用量を少なくすることが可能です)。


(続く)DICの治療戦略(インデックス)


【リンク】
 
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| DIC