金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年03月15日

血友病児出産時の頭部出血(新生児出血)

小児血友病患者において最初の関門となる出産時における頭部出血(新生児出血)の報告を紹介させていただきます。

 

 「血友病における新生児出血(欧州コホート研究) 」

著者名:Richards, M. et al.
雑誌名:Br J Haematol 156: 374-382, 2012.


<論文の要旨>

小児血友病患者においては、出産が最初の関門になります。

著者らは、周産期危険因子と血友病患者の新生児大出血との関連を検討しました。


欧州の12の血友病治療センター(HTC)の血友病A&B  508例が対象となりました(1990〜2008年)。


頭部出血は出生後28日までの間で18例(3.5%)でみられ、その内訳はクモ膜下出血3例、硬膜下血腫1例、頭血腫14例でした。

2例(0.4%)で頭蓋内出血がみれら、持続性神経障害をきたしました。

死亡例はみられませんでした。


鉗子分娩および吸引分娩を用いた介助分娩のみが頭部出血の危険因子でした
(オッズ比8.84)。

血友病が軽症であることや、母親が自分は血友病キャリアーであることを知っていることは頭部出血を抑制していましたが、推計学的に有意ではありませんでした(オッズ比は、それぞれ0.24、0.34)。

国、母体年齢、出産歴、在胎月週齢と頭部出血との間には関連はみられませんでした。


また、母親が自分でキャリアーであることを認識していることは、介助分娩を阻止する要素でした(オッズ比0.37)。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:50| 出血性疾患