金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年03月16日

重症出産後出血に対するrFVIIa(ノボセブン)治療

今回紹介させていただく論文は、日本からです。

日本人の出産後出血(PPH)に対する遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)(ノボセブン)治療効果について論じています。

 

「重症出産後出血に対するrFVIIa治療(日本における多施設研究) 」

著者名:Kobayashi, T. et al.
雑誌名:Int J Hematol 95: 57-63, 2012.


<論文の要旨>

日本人の出産後出血(PPH)に対する遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)(ノボセブン)治療については、限られた症例報告のみです。


著者らは重症PPHに対してrFVIIaが投与された日本人症例を集積しました(2005年〜2010年)。

患者背景、血液製剤使用量、rFVIIaの使用量と使用時期、有害作用についての調査を行いました。

rFVIIaの出血に対する効果は、止血、軽減、不変、悪化の4段階としました。


日本の18施設の25症例に対して、PPHの止血目的にrFVIIaが使用されていました。

rFVIIaの最終投与後に、止血は16例(64%)、軽減は8例(32%)、不変が1例(4%)でした。

また、初回rFVIIa投与後に血液製剤使用量は有意に低下しました。

2例(15.4%)では、rFVIIa投与に子宮摘出術が行われました。

3症例で、4回の無症候性血栓症の報告がなされました。


以上、rFVIIaは重症PPHの日本人症例に対して、血液製剤使用量を減らして子宮摘出を阻止する観点から有用と考えられました。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:06| 出血性疾患