金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月09日

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(5)

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(4)より続く。

DIC診断基準の改訂へ(5)

5)    TATの採用

前回の記事で書かせていただいたように、PTを2点から1点へと圧縮したことにより、残った1点をTATに与えることにしては如何でしょうか。

DICの本態は全身性持続性の著明な凝固活性化です。

このDICの本態を反映するマーカーを是非とも採用すべきと考えられます。

TATを即日測定可能な施設が少ないという意見も聞かれますが、この状況を延々と何年も続けることは如何なものでしょうか。

TATを診断基準に組み込むことによって、極めて有用なマーカーである「TAT」普及の原動力にすることができると、前向きに考えてみては如何でしょうか。

血栓止血学会学術標準化委員会DIC部会の検討によりますと、感染症症例(血小板数<12万/μL)において、TAT<7ng/mLであれば、後日DICを発症する可能性は0%と報告されています。

朝倉英策, 久志本成樹. DICの病態定義、感染症と非感染症. 日本血栓止血学会誌2006; 17:284-293.

TAT≧7ng/mLで、1点を与えることにしては如何でしょうか。

なお、TAT 7ng/mLは、TATの基準値であるTAT<3〜4 ng/mLの2倍ともなっており、この点でも意味のある数字となっています。

(続く)厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(6)

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:56| DIC