金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年09月26日

PNHと血栓症(12):血栓症の治療

PNHと血栓症(11):ワルファリンによる血栓症予防より続く。

PNH症例における血栓症の治療

静脈血栓塞栓症を発症してしまったPNH症例に対しては、通常の静脈血栓塞栓症の場合と同様に、急性期にはヘパリン類による加療を行い、慢性期にはワルファリン治療に移行します。


急激に発症したBudd-Chiari症候群に対しては、放射線学的な血管内治療が行われることがあります。

具体的には、経頚静脈的肝内門脈肝静脈シャント形成術(Transjugulear Intrahepatic Portosystemic Shunt:TIPS )が施行されることがあります。

ただし、TIPSによって補体活性化を生じる可能性や、TIPSは血栓を溶解する治療ではないことを認識しておく必要があります。


t-PAを用いた線溶療法は致命的な血栓症に対して試みられますが、出血の副作用(脳出血を含む)に留意が必要です。

線溶療法の適応は慎重に判断する必要があり、少なくとも一般的な治療ではありません。


エクリズマブは、血栓症の治療としても有効であるために、血栓症急性期の病期から投与することを考慮すべきです。

本治療は線溶療法のような出血の副作用が無い点もメリットです。

近年開発された、新規経口抗凝固薬(経口抗トロンビン薬、経口抗Xa薬)が、血栓症の治療や予防に有効であるかどうかはまだ未検討課題です。

 

(続く)PNHと血栓症(13):エクリズマブと血栓症


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 血栓性疾患