金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年08月05日

播種性血管内凝固症候群(DIC)の検査所見

平成25年度血液内科学系統講義試験<細胞移植学(血液内科)> 


播種性血管内凝固症候群(DIC)の記載として正しいものはどれか。1つ選べ。

a.    急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは、フィブリノゲンの低下は軽度である。
b.    羊水塞栓に合併したDICでは、フィブリノゲンが著減する。
c.    敗血症に合併したDICでは、血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)は上昇しない。
d.    敗血症に合併したDICでは、血中可溶性フィブリン(soluble fibrin:SF)が低下する。
e.    常位胎盤早期剥離に合併したDICでは、血中プラスミノゲンが著増する。



(解説)

急性前骨髄球性白血病(APL)に合併したDICでは線溶活性化が著しく(線溶亢進型DIC)、フィブリン形成に伴うフィブリノゲンの消費のみならず、プラスミンによるフィブリノゲン分解も加わり、フィブリノゲンは著減します。

・羊水塞栓では大量の組織因子が血中に流入して、線溶亢進型DICを発症します。フィブリノゲンは著減します。

・DICの本態は全身性持続性の著しい凝固活性化状態(過剰のトロンビンが形成されている状態)です。どのような基礎疾患のDICであっても、TATは上昇します。

どのような基礎疾患のDICであっても、TAT同様に、血中可溶性フィブリン(soluble fibrin:SF)は上昇します(参考:凝固活性化マーカー)。

常位胎盤早期剥離では、線溶亢進型DICを発症します。大出血をきたします。線溶活性化に伴い、プラスミノゲンからプラスミンへの転換が亢進しているために、プラスミノゲンは消費性に低下します。
 

(解答)b

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 医師国家試験・専門医試験対策