金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年10月20日

リポ蛋白(a) /Lp(a)

Lp(a)

リポ蛋白(a) [lipoprotein (a)]

Plg


LP(a)とは
Lp(a)はLDLのアポ蛋白B-100にアポ (a)がS-S結合した脂質で、現在動脈硬化の独立した危険因子と考えられています。

アポ (a)は構造上プラスミノゲン(Plg)と極めて高い相同性を有し、Plgのクリングル4(K4)の繰り返し構造、K5およびセリンプロテアーゼ構造部分からなっています。

個人によってこのK4の繰り返し数(nは11から50)が異なるために分子量に多様性が生じ、Lp(a)の種々の表現型(フェノタイプ)が存在します。

アポ(a)の分子量の大きさと血清Lp(a)濃度は、ほぼ逆相関を示します。

動脈硬化の発症機序としては、Plgのフィブリンへの結合をLp(a)が競合的に阻害しプラスミン生成を抑制することにより線溶能が低下し、結果として動脈硬化に寄与すると考えられています。

Lp(a)濃度は優性遺伝し、一般人の1/4〜1/3が高Lp(a)血症を呈することより、先天性血栓性素因の一つと考えられています。


基準値
血清Lp(a)濃度は遺伝的素因で90%決まっており、環境要因の影響は少ないです。

新生児の血清濃度は成人の20-30%程度と低いですが、2歳までには成人値に達します。

成人以降の加齢の影響や性差については、報告によって異なります。

また、妊娠中期に上昇し、分娩時に正常値に戻ります。

血清濃度は個人差が大きく、0.1mg/dlから100mg/dlを超えるものまで1000倍以上濃度差があります。

その分布は低濃度領域に多い対数正規分布を示し白人と類似していますが、アジア系民族とは異なります。

基準値は30mg/dl(72nmo1/l)未満です。

Lp(a)の測定法は、一般的にはELISA法、免疫比濁法(TIA)、ラテックス免疫比濁法(LIA)が用いられています。

Lp(a)は凍結融解を繰り返すと変性しやすいため、測定値は低下します。


異常となる病態・疾患
・統計的に血清Lp(a)濃度が30mg/dl以上になりますと、動脈硬化の合併率が急激に増加し、冠動脈疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化を発症しやすくなります。

・Lp(a)が低値となる場合の、臨床的意義は少ないです。

・高脂肪食後に若干低下します。


<リンク>:臨床に直結する血栓止血学

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 血栓性疾患