金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年10月21日

ホモシステイン

ホモシステイン

ホモシステインとは

ホモシステイン(Hcy)は、必須アミノ酸であるメチオニン代謝の中間代謝産物として生成されるチオール基を持つアミノ酸です。

代謝には、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12が関与しています。

先天性ホモシスチン尿症はまれな先天性代謝異常症の一つであり、Hcyを分解するシスタチオニンβ合成酵素の欠損により高Hcy血症をきたします。

患者は若年性の心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症/肺塞栓(静脈血栓塞栓症:VTE)などの動・静脈血栓症を起こすことが知られています。この所見より、高Hcy血症と動脈硬化および血栓症との関連が注目されるようになり、最近の疫学研究では軽度の高Hcy血症でも心血管疾患の危険因子となることが明らかになりました。

動脈硬化、血栓症の発症機序としては、過剰なHcyにより血管内皮傷害をきたしTM、PC、PS系の抗凝固活性が低下したり、血小板が活性化されることが考えられています。

血中Hcy濃度も、血栓症精査の際にはスクリーニング検査として重要な項目です。


基準値
血中Hcy濃度は、生理的変動として加齢で増加します。

男性で高値であり、女性の場合閉経で上昇します。

血中総Hcy濃度 3.7〜13.5 nmol/mL (高速液体クロマトグラフィ:HPLC法)


通常血漿中では遊離型のHcyは1%程度とわずかで、70-80%が蛋白と結合した蛋白結合型Hcy、残りが二量体を形成したり他の低分子チオール化合物と結合した非結合型Hcyです。

血中Hcy濃度は、蛋白結合型と非結合型の総量として測定されます。

測定法には、HPLC法や酵素法があります。


異常となる病態・疾患

<血中Hcy濃度が高値を示す場合>

・生活習慣:喫煙 、コーヒー摂取
・Hcy代謝に必要なビタミンB12・B6、または葉酸欠乏
・先天性シスタチオニンβ合成酵素の欠損(ホモシスチン尿症)
・メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子の一塩基多型C677T
・腎障害
・先天性ホモシスチン尿症のホモ接合体では、血中Hcy濃度は基準値の10倍以上に増加しますが、ヘテロ接合体あるいはMTHFR遺伝子のC677T多型(TT型)では、軽度増加を示します。

(備考)
・葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の補充療法は、血中Hcy濃度を低下させますが、心血管疾患の発症リスクは低減させません。

Martí-Carvajal AJ, et al. Homocysteine-lowering interventions for preventing cardiovascular events. Cochrane Database Syst Rev. 2013


<リンク>:臨床に直結する血栓止血学

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02| 血栓性疾患