金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年12月21日

抗リン脂質抗体症候群(APS):血液内科試験問題

問題解説(金沢大学 血液内科系統講義試験)が続きます。

参考記事:抗リン脂質抗体症候群(APS)


【設問】

典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、正しいものはどれか。一つ選べ。

a.    ループスアンチコアグラントが陰性であれば、APSを否定できる。
b.    APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正される。
c.    静脈血栓症では腸間膜静脈血栓症が最も多い。
d.    習慣性流産の若年女性に対しては、妊娠判明後ワルファリンとヘパリンによる抗血栓療法を行う。
e.    希釈ラッセル蛇毒時間が延長する。


【解説】

a. ループスアンチコアグラントが陰性であっても、抗カルジオリピン抗体が陽性であれば、APSのことがある。

b. APS患者血漿:コントロール血漿=1:1の混合血漿で、凝固時間の延長が是正されない。クロスミキシング試験は臨床において極めて重要である。

c. APSの静脈血栓症では、深部静脈血栓症が最も多い。

d. ワルファリンには、催奇形性の副作用があることを熟知している必要がある。

e. ループスアンチコアグラントの診断には、カオリン凝固時間のクロスミキシング試験や、希釈ラッセル蛇毒時間が用いられる。ループスアンチコアグラント陽性例では、しばしば希釈ラッセル蛇毒時間が延長する。


 

【正答】 e

 


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血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:09| 医師国家試験・専門医試験対策 | コメント(0)

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