金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2010年09月03日

血液凝固検査:医学部CBT過去問解説

CBT過去問の予想問題の解説

1)発熱:医学部CBT過去問解説

2)出血傾向:医学部CBT過去問解説

3)発熱と出血:医学部CBT過去問解説

より続く。

連問形式ですので、前記事の1)2)3)をご覧になっていない場合には、上記の前記事からご覧いただけるでしょうか。

4連問の4番目の問題は、病態または治療と関連した問題が出題されることになっています。

 

(4/4)

56歳の男性.発熱を主訴に来院した.10日前より微熱と倦怠感があった.近医で抗菌薬を処方されたが改善せず,昨日は体温38.5℃まで上昇した.立ちくらみが出現し,動くと動悸がする.

下痢,体重減少,咳・痰はなく,周囲に同じ症状の人もいないという.身長172cm,体重68kg.脈拍90/分,整.血圧130/80mmHg.下肢に斑状の出血が多数みられた.

歯肉出血は認めない.胸部聴診上,収縮期雑音を認める.

赤血球450万,白血球7,600,血小板3.2万,出血時間延長,PT時間20秒,フィブリノーゲン100mg/dL,FDP 50μg/mL.



この疾患はなにか.

a 血友病
b DIC
c ITP
d von Willebrand病
e TTP



 

(解説)

a 血友病は伴性劣性遺伝する出血性疾患です。関節内出血や筋肉内出血が特徴です。血液検査ではAPTTが延長しますが、PT出血時間は正常です。

b 本例は、FDP上昇、血小板数低下、フィブリノーゲン低下、PT延長より、播種性血管内凝固症候群(DIC)合併と考えられます。

c ITPでは血小板数が低下しますが、その他には所見はありません。

d von Willebrand病は、常染色体性優性遺伝する出血性疾患です。鼻血などの粘膜出血が特徴的です。血液検査ではAPTT出血時間が延長しますが、PTは正常です。

e TTPは、1.血小板数減少、2.溶血性貧血(赤血球破砕像)、3.動揺する精神症状、4.腎障害、5.発熱、が5主徴です。FDP上昇や、フィブリノーゲン低下は見られません。

 

(正答)b

(続く)播種性血管内凝固症候群(DIC):医学部CBT過去問解説 へ

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:48| 医師国家試験・専門医試験対策