金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年12月03日

HLAとは:造血幹細胞移植入門(4)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

造血幹細胞移植入門HLAとは

HLAは、自分の細胞と他人の細胞を見分ける「目印」とも言えます。

HLAは、もともと「human leukocyte antigen = ヒト白血球(型)抗原」と呼ばれていました。

しかし、その後の研究で、HLAは白血球だけでなく、赤血球を除く全ての細胞にあることがわかりました。

そこで、human leukocyte antigenの略語ではなく、最近は「HLA」という固有名詞として扱われています。

HLAには、A座(抗原)・B座・C座・DR座・DQ座・DP座などいくつかの種類があります。

1つのHLA抗原型(血清型とも呼ばれる)が、遺伝子レベルでは複数の種類に分けられることがあります。

これをHLA遺伝子型(DNA型とも呼ばれます)と言います。

同種造血幹細胞移植の成功には、なるべく患者とHLAが一致したドナーから血液の提供を受ける必要があります。

HLA抗原型だけでなくHLA遺伝子型も一致していれば、なお良いです。

 

患者とドナーのHLAが一部違っても(「不一致」と呼ばれます)移植は可能ですが、生着不全や重い移植片対宿主病(graft-versus-host disease: GVHD)など、困った合併症が起こりやすくなります。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:28| 血液疾患(汎血球減少、移植他)