金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年12月09日

さい帯血移植とは:造血幹細胞移植入門(10)

 

造血幹細胞移植入門(インデックス)


造血幹細胞移植入門:さい帯血移植


さい帯血移植の利点として、以下の点を挙げることができます。

(1)  ドナーに危険性や負担がないこと。

(2)  さい帯血があらかじめ凍結保存されているため、比較的速やかに移植が実施できること。

(3)  GVHDが少ないこと。

(4)  HLA不一致でも移植が可能であること。

といった点です。


一方、造血幹細胞が少ないため生着不全が起こりやすく、その場合、同じドナーから血液を再び採取できないことが最大の欠点です。

すなわち、ドナーリンパ球輸注は事実上不可能です。

また、造血幹細胞移植後、白血球・赤血球・血小板の回復が遅いため、重い感染症が起こりやすく、入院が長くなり、また輸血量も多くなる傾向にあります。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:39| 血液疾患(汎血球減少、移植他)