金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年01月25日

ミニ移植の問題点:造血幹細胞移植入門(19)


造血幹細胞移植入門(インデックス)

 

 
造血幹細胞移植入門:ミニ移植(骨髄非破壊的前処置移植)の問題点

同種造血幹細胞移植は、「移植前処置による抗腫瘍効果」「移植した血液による抗腫瘍効果(graft-versus-malignancy: GVM)効果」を期待して行われます。


ミニ移植では、前処置が軽い分抗腫瘍効果が弱まり、血液がんが再発・進行しやすくなる可能性が懸念されています。

ただし、疾患によっては、骨髄破壊的前処置と同様の抗腫瘍効果が得られるとの報告もあり、この点は結論が出ていません。


とはいえ、骨髄破壊的前処置を受けられる患者なら、それにこしたことはありません。

比較的若く(50歳未満)全身状態が落ち着いていれば、骨髄破壊的前処置移植を選択することが多いです。

自家造血幹細胞移植は、ドナー免疫による抗腫瘍効果が得られませんので、骨髄破壊的前処置移植を行います。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 血液疾患(汎血球減少、移植他)