金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年09月09日

血液内科試験(BSL評価):DICの血液検査


内科学卒業試験(BSL評価試験)血液内科学の問題紹介と解答を続けます。

今回の問題は、DICの検査所見に関する問題です。


10.    播種性血管内凝固症候群(DIC)に関する記載として誤りはどれか.1つ選べ.

a.    敗血症に合併したDICにおいては,血中α2プラスミンインヒビター(α2PI)が著減する.
b.    急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては,血中トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)が著増する.
c.    転移性前立腺癌に合併したDICにおいては,血中プラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)が著増する.
d.    線溶抑制型DICにおいては,血中プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が著増する.
e.    急性前骨髄球性白血病に合併したDICにおいては,血中フィブリノゲンが著減する.


解説)

a. 敗血症(参考:敗血症と凝固・DIC/抗炎症効果)に合併したDICにおいては,線溶抑制型DICの病型となります。プラスミンの産生量が少ないために、α2PIの消費性低下はあまり見られません。加えて、α2PI(蛋白分画のα2分画に属しています)はacute phase reactantであるため、炎症に伴い上昇する傾向にあります。

b. 急性前骨髄球性白血病(APL)のみならず、どのようなDICであっても必ずTATは著増します。

c. 転移性前立腺癌では、線溶亢進型DIC(参考:フサン(FUT)治療が有効なDIC症例)となります。TATも、PICも著増します。

d. 線溶抑制型DIC(敗血症に合併したDICなど)においては,線溶阻止因子PAIが著増します。

e. 急性前骨髄球性白血病では線溶亢進型DICとなります。TAT、PIC、FDP(参考:Dダイマー)は著増し、フィブリノゲンが著減します。

 

正答) a

 

【リンク】

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 医師国家試験・専門医試験対策