金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年08月11日

紫斑病:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 
20歳の女性.下肢に突然写真(省略)のような発疹ができた.数日前から腹痛を訴えている.血小板数は正常.
最も考えられるのはどれか.

a 副腎皮質ステロイドは効果があまりない.
b 数日前に肺炎球菌に感染している.
c 血小板に対する自己抗体が原因である.
d 硝子板で押すと消える.
e 服用していた薬剤が原因である.

 

(概説)

 下肢に左右対称性に特有の紫斑が出現しています。

この画像をみただけで、病名がでるようにしたいです。

腹痛を認めている点もヒントになっています。

血小板数は正常と書かれていますので、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)ではありません。



(項目別)

a 自然治癒も多く、副腎皮質ステロイドを使用することはほとんどありません。重症例では使用することもありますが有効です。

b 上気道感染が先行するのが特徴です。

c 血小板に対する自己抗体ができるのは、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)です。

d 血管外に出血しているために硝子板で押しても消退しません。 

e 薬剤は無関係です。


(正答)  b


(補足)

Schönlein-Henoch紫斑病 (アレルギー性紫斑病)


1.    血管性出血性素因。全身性の血管炎が本態で血管壁にIgAの沈着し、毛細血管の透過性が亢進します。小児に多いが成人にもあります。上気道感染が先行。

2.    皮膚出血斑(特に、下肢に左右対称性の紫斑)を中心とした出血傾向。


3.    時に,腹部症状(腸重積、腹痛、下血など)、関節痛、血尿、腎障害(IgA腎症に類似)を伴います。

4.    PT、APTT、出血時間、血小板数は正常です。

5.    時に、第XIII因子が低下(治療に第XIII因子製剤を使用することもあります。

6.    腎障害がなければ、予後は良好です。自然治癒も多いです



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:11| 医師国家試験・専門医試験対策