金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年08月16日

プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)1:PT-INR&APTT


プラザキサ

 

 

 「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」に対して、プラザキサ(ダビガトラン)を処方することができるようになりました。
心房細動による脳塞栓を抑制する薬剤として、ワーファリンを越える新薬と言えると思います。

 
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経口(注射薬でなく)の抗凝固薬といえば、長らくワルファリン(商品名:ワーファリン)しかありませんでした(点滴・静脈注射であれば、いくつかのヘパリン類アルガトロバンなどのお薬(スロンノン・ノバスタン)などがありますが)。

参考:
PT-INR
抗Xa薬か、抗トロンビン薬か:抗凝固療法開発の歴史

このワルファリンは、大昔からのお薬です。

数十年も使用されてきたというのは、それだけ優れた薬剤であったということかも知れません(心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓などの静脈血栓症<凝固活性化に起因する血栓症>に広く処方されてきました)。

しかし、ワルファリンには、この記事の中で書かせていただくような難点(上図)もあります。


そのため、ワーファリンを凌ぐ、次世代のワーファリン(言わばスーパーワーファリン)が求められてきました。

そして、ついにスーパーワーファリンが登場しました。

まず、 まず心房細動に対して、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)が登場しました。
参考:ダビガトラン:抗トロンビン薬(6)

効能効果は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」です。

新薬のため、現時点(H23.8.9)では、2週間処方しかできませんが、発売後1年経過した後は、処方量は飛躍的にアップするのではないかと思っています。それだけ、すぐれたお薬です(効果、副作用のいずれにおいても、ワーファリンより優れています)。

このような優れた薬剤は、大事に育てる必要があるのではないかと思っています。

臨床試験では、出血の問題はワーファリンより少なかったようですが、広く臨床の場で使用されるようになりますと、どうもそうとは言い切れないようです。

管理人は、プラザキサのような優れた次世代のスーパーワーファリンを育てるためには、適切にモニタリングすることがとても大事ではないかと思っています(関連記事:PT-INRAPTT)。
 

(続く)

プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)2:モニタリング/INR へ

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| 抗凝固療法