金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年02月04日

へパリンカルシウム:在宅自己注射の保険適用認可


抗リン脂質抗体症候群(APS)や、慢性の播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者さんによっての朗報です。

へパリンカルシウムが、平成24年1月1日より、在宅自己注射の保険適用が認められるようになりました(参考:ヘパリン類)。

商品名は、以下です。
へパリンカルシウム皮下注 5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」

文字通り、持田製薬株式会社からです。

【効能・効果】
・汎発性血管内血液凝固症候群(DICと同義です)の治療
・血栓塞栓症(動脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、手術中・術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防

血栓塞栓症の治療のみならず予納にも使えるようです。

抗リン脂質抗体症候群(APS)における不育症患者さん、動脈瘤を基礎疾患とした慢性の播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者さんなどでの処方がすぐに想定されます。

これらの患者さんでの治療を行いやすくなります。
ありがたい限りです。

製薬会社から出ている「自己注射法指導マニュアル」によりますと、自己注射の適応基準に以下の記載がありました。
概略のみ紹介させていただきます(詳細は製薬会社からパンフレットをご覧いただければと思います)。


自己注射の適応基準(へパリンカルシウム)
1)へパリンアレルギーがないこと。HITの既往がないこと。
2)他の代替療法に優る効果が期待できるへパリン治療の適応患者であること。
3)在宅自己注射により通院の身体的、時間的、経済的負担、さらに精神的苦痛が軽減され、生活の質が高められること。
4)以下のいづれかを満たし、担当医が治療対象と認めた患者
・血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症抗リン脂質抗体症候群(APS)など)を有する患者。
深部静脈血栓症(DVT)、肺血栓塞栓症既往のある患者。
・巨大血管腫、川崎病や心臓人工弁置換術後などの患者


(参考)

APTTカオリン凝固時間ループスアンチコアグラントワルファリン
深部静脈血栓症(DVT)スロンノン(アルガトロバン)リコモジュリン


【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:30| 血栓性疾患