金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年08月14日

出血&ワルファリン:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

70歳の男性.

鼻血がよく出る.出血時間は正常,APTTPTともに延長.

脳梗塞の既往があり,ワルファリンを服用している.

原因となるのはどれか.

a アンチトロンビン   
b 血小板粘着因子
c 第III因子
d 第VII因子
e 第VIII因子
f  第XI因子
g 第XII因子
h フィブリノーゲン
i  プラスミノーゲンアクチベーター
j  プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター


(概説)
「脳梗塞の既往があり,
ワルファリンを服用」より、心房細動があり過去に心原性脳塞栓を発症したために、ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)による血栓症の二次予防が行われているものと考えられます(参考:プラザキサ)。

ビタミンK欠乏状態にあるために、
PTAPTTは延長します(出血時間は正常)。

ビタミンK依存性凝固因子がどれか、という問題と同義と考えて良いでしょう。


(正答)
  d


(補足)

<ビタミンK依存性凝固因子>

半減期の短い順番に、第VII、IX、X、II因子(II因子はプロトロンビンとも言う)。
PTは半減期の短い第VII因子を反映しているために(APTTは反映していない)、ビタミンK欠乏状態では、APTTよりもPTの方が敏感に延長しやすいです。


<ビタミンK依存性凝固阻止因子>


プロテインC、プロテインS(2012年国家試験既出)。もう一つの凝固阻止因子であるアンチトロンビン(AT)はビタミンK依存性ではありません。


<備考>


骨代謝と関連したオステオカルシンもビタミンK依存性です。
骨粗鬆症の治療薬の一つにビタミンK製剤(商品名:グラケー)があります(参考:プラビックス)。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22| 医師国家試験・専門医試験対策