金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年08月15日

鼻血・出血時間・APTT:CBT(コアカリ)

CBT(コアカリ)問題の紹介と解説を続けます。

 

25歳の男性.

鼻血がよく出る.
出血時間とAPTTが延長している,PTは正常.


原因となるのはどれか.

a アンチトロンビン   
b 血小板粘着因子
c 第III因子
d 第VII因子
e 第VIII因子
f  第XI因子
g 第XII因子
h フィブリノーゲン
i  プラスミノーゲンアクチベーター
j  プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター


(概説)

出血時間という血小板関連検査と、APTTという凝固関検査の両者が延長しています。

PTは正常です。

症状は鼻出血という粘膜出血です。

von Willebrand病
と考えられます。

von Willebrand病は、von Willebrand因子(血小板粘着時に必要な因子)が先天性に欠損する先天性出血性素因です。

血友病は鑑別に挙りますが、出血時間が延長している点が合いません(血友病では出血時間は正常)。

また、血友病の出血部位は、関節内出血や筋肉内出血などの深部出血です。


(正答) 
b
(血小板粘着因子という紛らわしい選択肢ではなく、von Willebrand因子という選択肢にして欲しかったところです)


(補足)

<出血時間の延長>以下でみられます。特に、2)での検査意義が大きいです。

1)    血小板数の低下。
2)    血小板機能の低下。
3)    血管壁の脆弱性のあるとき。

参考:血友病とvon Willebrand病の比較


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:46| 医師国家試験・専門医試験対策