血液内科問題(鼻出血):(兼)医師国家&専門医 試験対策
金沢大学 血液学系統講義試験の問題紹介を続けたいと思います。
今回は、出血性疾患に関する臨床問題です。
21歳女性。
頻回かつ止血困難の鼻出血の精査目的に来院した。
血液検査は下記の通りであった。
Hb 8.1 g/dL,血小板数 33.8万/μL,出血時間12分,PT 10.3秒,APTT 82.3秒,フィブリノゲン 282 mg/dL,FDP 2.3 μg/mL.
妹も、幼少時より鼻出血がみられやすい。
この疾患の止血治療として正しいものはどれか。1つ選べ。
a) 濃厚血小板
b) 新鮮凍結血漿
c) 副腎皮質ステロイド
d) デスモプレシン(DDAVP)
e) 遺伝子組換え第VIII因子製剤
(解説)
・妹にも出血症状がみられており、先天性出血性素因が疑わしい。
・鼻出血は粘膜出血の一つ。おそらく、鼻出血のため貧血がみられている。参考:遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と鼻出血
・血液検査では、APTTの延長と、出血時間の延長がみられている。
・以上より、von Willebrand病と考えられる。
・出血時には、コンファクトF(第VIII因子も含有された血漿由来第VIII因子製剤)またはデスモプレシン(DDAVP)が有効である。(参考:止血剤の種類と疾患)
(正答) d)
(正答率)80.2%
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 18:26 | 医師国家試験・専門医試験対策
造血幹細胞移植の種類:造血幹細胞移植入門(2)

造血幹細胞移植入門:造血幹細胞移植の種類
造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation: HSCT)とは、白血病や再生不良性貧血などの血液難病を治すため、造血幹細胞が含まれる血液を移植する治療法です。
治療法として確立しており、通常は保険診療で行われます。
なお、腎細胞癌や膵癌、乳癌といった固形腫瘍や難治性自己免疫疾患にも、行われることがあります。
・自家 (または自己) (autologous) 造血幹細胞移植:移植する血液が元々患者自身のものである場合。
・同種 (allogeneic) 造血幹細胞移植:移植する血液を他人からもらう場合。
・同系 (syngeneic) 造血幹細胞移植:同種 造血幹細胞移植でもドナーが患者の一卵性双生児の場合。
・ドナー(donor):血液の提供者
・レシピエント(recipient)またはホスト(host):血液の受取手、つまり患者。
<造血幹細胞を含む血液の種類による分類>
・骨髄移植(bone marrow transplantation: BMT)
・末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation: PBSCT)
・さい (臍) 帯血移植(cord blood transplantation: CBT)
たとえば、一卵性双生児以外の兄弟姉妹の骨髄を移植しますと、同種血縁者間骨髄移植になります。
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【リンク】金沢大学血液内科・呼吸器内科関連
投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:15 | 血液疾患(汎血球減少、移植他)